OpenAI

2026年10月27日

Retell、OpenAI モデルを活用して月間 1 億件の通話に対応

GPT‑6 Astra が Retell の音声エージェントベンチマークで首位を獲得。Codex の支援で従業員 1 人あたりの年換算売上高 160 万ドルを達成

青い音響用ファブリックにあしらわれた Retell のロゴ。
従業員数: スタートアップ
地域: 北米
業種: テクノロジー
製品: API, Codex

1 億件超

月間通話対応件数

80% 超

顧客の問い合わせ解決率

1 兆

OpenAI トークン消費量

160 万ドル

従業員 1 人あたりの年換算売上高

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Retell AI⁠(新しいウィンドウで開く) は、コンタクトセンター業務向けの音声 AI プラットフォームです。質問への回答やアクションの実行、必要に応じた有人対応への引き継ぎができるエージェントの構築を支援しています。現在、同プラットフォームは 4,000 社以上に利用されており、月間通話件数は 2026 年初頭の 3,000 万件から、9 月には 1 億件超へと増加しました。

複雑なワークフローを持つ大企業の利用が増える中、Retell は OpenAI モデルを活用して、通話品質と信頼性を高い水準に保っています。現在、Retell で行われる通話の 80% で OpenAI モデルが応答を生成しており、導入企業の問い合わせ解決率は 80% を超えています。また、Retell による OpenAI モデル全体でのトークン消費量は 1 兆を突破しており、その活用規模の大きさを示しています。

Retell のエンジニアは、馴染みのないコードの調査から機能開発、デバッグまで、開発全体を通じて Codex を利用し、フロントエンドのインターフェースのテストには GPT‑6 Astra を活用しています。

「私たちのモデル選びは、お客様のベンダー選びと同じです。デモではなく、実際の通話で判断します。OpenAI は、その実力で選ばれ続けています。」
—Bing Wu 氏、Retell AI 共同創業者兼 CEO

実際の通話の要件に応える OpenAI モデルの選定

企業向けの音声エージェントには、会話が変化しても会社のポリシーを守り、割り当てられた役割の範囲内で対応することが求められます。Retell は、実際の本番環境のシナリオから抽出した、複数のやり取りを伴う難しい会話を使って数十のモデルを比較するため、vCX ベンチマークを構築しました。

このベンチマークでは、モデルが指示に従い、与えられた情報に基づき、適切なツールを呼び出し、自然な言葉で会話できるかを評価します。Retell が 2026 年 10 月 13 日に実施したベンチマークでは、GPT‑6 Astra が指示遵守率 89.7% で首位に立ちました。

出典:bench.retellai.com · 2026 年 10 月 13 日 · 全プロバイダー · 推論「なし/低」 · 高速版は対象外

Retell は、GPT‑6 Astra モデルの提供開始前に実施した評価も公開しました。その結果、推論を有効にした GPT‑5.5 は、ハルシネーションを起こさない割合(88.0%)とツール呼び出しの正確性(88.3%)の両方で全モデル中最高となり、いずれの指標でも Gemini‑3.1‑Pro と Claude‑4.6 を上回りました。推論を無効にした場合も、ハルシネーションを起こさない割合で首位となりました。

Retell によると、OpenAI モデルを選んだ新規顧客は、その後も継続して利用しています。導入企業は、Realtime API を通じて OpenAI の Realtime モデルを利用できるほか、音声エンジンとして OpenAI のテキスト読み上げ機能も利用できます。Retell は OpenAI の新しいモデルをリリース当日から提供し、モデルの改善に合わせてベンチマークを再実施しています。

顧客の問い合わせの 80% 超をエージェントで解決

コンタクトセンターのチームは、Retell を使ってエージェントの業務背景、目標、ルールを定義します。開発者はさらに、ワークフローやシステム連携を設定できます。

通話中は、Retell のハーネスが音声モデルを実行し、会話の流れを把握しながら、エージェントが話す、聞く、割り込みに応じるタイミングを管理します。GPT‑6.1 Sol、GPT‑6 Astra、GPT‑5.5 などの OpenAI モデルは、導入企業の指示と会話の文脈に基づいて応答を生成し、ツール呼び出しを要求します。Retell は導入企業のシステムとの連携を通じてツール呼び出しを実行し、その結果を顧客レコードに書き戻すことができます。

人の判断が必要な場合、音声エージェントは担当者に状況を説明し、追加の質問に答え、対応の準備が整ったことを確認してから顧客の通話を転送します。通話後、Retell は GPT‑5.6 Terra を使って文字起こしを分析し、対応結果などのデータを抽出します。

Retell が顧客との通話中に OpenAI モデルを活用し、リアルタイム音声、会話の状態、文脈、ツール、顧客システムを連携させる仕組みを示した図。

Retell によると、この仕組みによって顧客の問い合わせ解決率は 80% を超えています。電子機器メーカーの Anker では、米国と英国における購入後の一次サポートをエージェントが担い、注文の追跡、保証の確認、トラブルシューティングなどに対応しています。Anker は、問い合わせ解決率 80.4%、ネットプロモータースコア(NPS)63 を報告しています。同社のチームは、エージェントの口調、話すペース、温かみも、人の担当者に期待する水準に達していると述べています。

Pine Park Health では、Retell のエージェントが予約のリマインダーや患者への積極的な予約案内を行い、その結果を診療記録に記入しています。同チームは、医療アシスタントの常勤職員 2.1 人分に相当する業務時間を捻出し、患者のケアに振り向けました。予約調整エージェントは、患者と連絡が取れた場合に 55.7% の予約獲得率を達成しました。

通話量の増加に対応し、応答性を維持

Retell のプラットフォームでは、日中のトラフィックが夜間の最低水準の 50 倍を超えることがあります。ピーク時にも通話の応答性を維持できるよう、Retell は OpenAI の専用サーバーを利用し、導入企業間で共有しています。Retell が 2026 年 10 月 13 日に実施したベンチマークでは、最初の一文を返すまでの遅延の中央値は GPT‑6 Astra と GPT‑6 Sol がともに 883 ミリ秒で、GPT‑5.6 Luna が最速の 497 ミリ秒を記録しました。

OpenAI のリージョン別 API エンドポイントを使うと、開発者はトラフィックを特定の地域にルーティングできます。これにより Retell は、ネットワークの通信遅延を抑え、医療や金融サービスなどの業界における導入企業のデータレジデンシー要件に対応できます。

Retell はサービスの各レイヤーに冗長性も組み込んでいます。独自の電話システムを運用し、いつでも切り替えられる予備システムに加え、音声サービスとモデルサービスのバックアップも用意することで、サービス障害時にも通話を継続できるようにしています。

調査、開発、デバッグでの Codex 活用

Retell では大企業への導入拡大に伴い、独自のワークフローやシステム連携への要望が増えています。そのため、エンジニアがコードベースの馴染みのない部分を扱う機会も多くなっています。エンジニアはコードを書く前に、要件の概要を Codex に伝えます。Codex はコードを調べ、実際のデータと照合したうえで、変更が必要な箇所を説明します。あるエンジニアは、Codex が自分よりも的確に、はるかに速くこの調査を行ったと述べています。

エンジニアによると、実装中には、自分たちが考慮していなかった細部に Codex が気づくこともよくあります。デバッグでは、Codex がログやデータベースのレコードをコードと照らし合わせ、何が起きているのかを調査します。Retell のエンジニアは、OpenAI モデルで開発を行う顧客の支援にも Codex を活用しています。顧客のアプリケーションでモデルの応答を制御する指示の作成などを効率化しています。

ウェブインターフェースの変更をテストする際、Retell は GPT‑6 Astra のコンピューター操作機能を活用しています。エンジニアがフロントエンドの pull request を作成すると、GPT‑6 Astra がインターフェースを開き、各所をクリックして操作フローをテストします。さらに、不具合を引き起こす操作も試し、見つかった問題を報告します。Retell によると、従来のモデルではこの作業を安定して実行できませんでした。

Retell は採用を続けていますが、事業と同じペースでエンジニアリングチームを拡大する必要はなくなっています。Retell は、従業員 1 人あたりの年換算売上高が 160 万ドルに達したと報告しています。

「Codex を使うことで、エンジニアリングチームは、どんな難題にも一緒に取り組めるバーチャルなチームメイトを得ています。」
—Bing Wu 氏、Retell AI 共同創業者兼 CEO

導入企業の専門知識を現場で活用

どの企業も、自社の顧客にどのようなサービスを提供したいかを理解しています。Retell が目指すのは、その業務に最も近い人々が専門知識を直接活かせるようにすることです。そのために、高度な音声 AI と、自らエージェントを構築、テスト、改善できるプラットフォームを提供しています。Retell は今後、品質保証とシミュレーションの拡充、対応言語の追加、ナレッジベースの自動学習機能の開発を計画しています。

OpenAI モデルの進化に伴い、Retell は、導入企業が自社の方針に沿って数百万人の電話利用者に世界水準のサービスを提供できるようになると期待しています。

「顧客を最もよく理解しているのは、その企業自身です。私たちは、企業がその専門知識を活かし、自ら AI エージェントを改善できるよう支援しています。目標は、企業が社内の現場にエンジニアチームを置き、すべてを自ら管理・運用できるようにすることです」と Bing 氏は語ります。