脆弱性を抱えるソフトウェアへのパッチ適用をマシンスピードで広く実現できるよう、Daybreak を拡張しています。たとえば、私たちは自社のモデルを活用して、主要なブラウザ、ネットワークインフラ、FreeBSD や Linux カーネルなどのオペレーティングシステムにおける重大な脆弱性(新しいウィンドウで開く)を発見し、それに対するパッチを生成してきました。こうした機能の効果をさらに広げるため、次の取り組みを進めています。
- Codex Security:Codex Security プラグインのアップデートを提供開始します。このアップデートでは、当社のモデルの社内利用やお客様による利用を通じて得た知見を反映し、既存システムの脆弱性の発見と修正を加速するとともに、新たな脆弱性が本番環境に入り込むのを自動的に防ぐソリューションを提供します。
- GPT‑5.5‑Cyber:初期の許可された用途に限定したプレビューを経て、信頼できる防御側ユーザー向けの限定提供を継続しながら、GPT‑5.5‑Cyber の完全版を提供開始します。このモデルは CyberGym において新たな性能水準を打ち立て、GPT‑5.5 の 81.8% に対して 85.6% に到達しました。
- Daybreak Cyber Partner Program:セキュリティパートナーが、自社の製品やサービスを通じて、信頼できるアクセスのもとで当社のフロンティアモデルのメリットをより多くの組織に提供できるようにします。
- Patch the Planet:Trail of Bits とともに立ち上げ、HackerOne、Calif、研究者、メンテナーと連携して進める取り組みです。広く利用されているオープンソースプロジェクトが、検出結果を修正につなげられるよう支援します。
- 30を超えるオープンソースプロジェクトが参加を表明しており、初期参加プロジェクトには cURL、Go、Python、Sigstore、pyca/cryptography などが含まれます。
- Patch the Planet を通じて、研究者、メンテナー、企業、パートナーと協力し、適切なアクセス管理、ガバナンス、人間による監督のもとで、強力なサイバー能力を防御側が活用できるよう取り組んでいます。詳細については、Clint と Dan の解説(新しいウィンドウで開く)をご覧ください。
AI はサイバーセキュリティの前提そのものを変えました。フロンティア AI モデルによって、脆弱性の発見は急速に加速しています。これまでは脆弱性を見つけることがボトルネックでした。しかし今では、防御側が見つかる脆弱性の多さに対応しきれなくなっています。現在のボトルネックは、脆弱性へのパッチ適用です。
長年にわたり、重大な脆弱性を発見するには、高度な専門知識や時間、複雑なシステムに対する深い理解が必要でした。今では、モデルは大規模なコードベースを探索し、攻撃経路を推論し、仮説を検証し、これまで見逃されていた可能性のあるセキュリティ上の問題を明らかにできます。防御側には、こうした能力へのアクセスが不可欠です。また、攻撃者に先んじて、発見できるようになった問題を修正するためのツールも必要です。
脆弱性レポートだけでは、誰も守ることはできません。真の価値は、問題の検証、影響の把握、パッチの開発とテスト、情報開示の調整、そして各チームによる修正の展開支援にあります。私たちはパートナーとともに、こうした後工程の改善に投資しています。目的は、防御側の能力を大幅に高め、モデルの能力を現実世界のリスク低減につなげることです。
フロンティアレベルの防御能力は、一部の組織だけに集中すべきではありません。ソフトウェアは、重要インフラから業務アプリケーション、政府機関のネットワークに至るまで、社会のあらゆる領域を支えています。AI によって脆弱性発見のスピードが変化する中、世界中の防御側が、攻撃者に先んじて欠陥を発見し、修正し、自らのインフラを守れるよう、こうしたモデルを広く利用できることが重要です。
Daybreak は、OpenAI のモデルが持つフロンティアレベルのサイバー能力、Trusted Access for Cyber、Codex Security のワークフロー、そしてエコシステムパートナーを結集し、承認された防御側が既存のセキュリティおよび開発ワークフローの中で、脆弱性の検証、リスクの優先順位付け、修正の生成とテスト、エビデンスの作成を行えるよう支援します。私たちの目標は、サイバー脅威の進化が加速し続ける中でも、組織が安全を維持するために必要なツールを提供することです。
3 月に Codex Security cloud をリサーチプレビューとして提供開始して以来、3万を超えるコードベースで3,000万件以上のコミットをスキャンしてきました。人のレビュアーが7万件を超える検出結果を手動で修正済みと判断し、50万件を超える検出結果が自動的に修正済みと判定されています。
今や、パッチ適用はこの規模で行われる必要があります。

私たちは、Codex に直接統合することで、すべてのソフトウェア開発者が専任のセキュリティエンジニアがいるかのように作業できる環境を実現する、というシンプルな発想から Codex Security を構築しました。Codex Security は、単にアラートを生成するだけではありません。チームのコードと脅威モデルを理解し(存在しない場合は生成)、起こり得る脆弱性を特定し、影響を受けるコードに実際に到達可能かを判断したうえで、検証手順のためのエビデンスを収集し、対象を絞ったパッチを作成して、その結果を検証します。どの検出結果を調査し、どの変更を適用し、どの情報を共有するかについては、引き続き人間が主導権を持ちます。
本日、そのまま使える防御的なセキュリティワークフローを実現する Codex Security プラグインのアップデートをリリースします。開発者は、詳細スキャンや最近の変更のレビューに加え、重大度、影響を受けるコード位置、検証エビデンス、修正ガイダンスを含むレポートの生成、攻撃経路の追跡、脅威モデルの構築、検出結果の検証、コードベース固有のパッチ生成などを行えます。

コードベース全体、コードベースの一部、または特定の変更やコミットを対象にスキャンを設定できます。
このプラグインは、スキャナー、アドバイザリ、バグバウンティレポート、チケット管理システムから得られた既存の検出結果をトリアージして検証し、さらに大規模なパッチ生成を自動化することで、脆弱性のバックログを迅速に解消できます。Codex Security はスキャン完了後、既存の脆弱性管理システムへ結果をエクスポートしたり、SARIF ファイルや CodeQL クエリなどを通じて各種ツールと連携したりすることもできます。このプラグインによって、これらの機能をより手軽に利用できるようになり、Codex CLI を使った自動化パイプラインや、Codex アプリ内の開発者ワークフローにも組み込みやすくなります。
正当な権限に基づく高度なサイバーセキュリティ業務向けに、より柔軟な応答と高い能力を両立した GPT‑5.5‑Cyber のアップデートをリリースします。
GPT‑5.5‑Cyber の初期プレビューは、主に専門的なワークフローにおける不要な拒否応答を減らすことを目的として設計されました。今回のアップデートでは、さらに踏み込んだ改善を行っています。本モデルは、ソフトウェアの脆弱性の発見と修正支援において高い性能を発揮しながら、GPT‑5.5 の汎用的な知能と、長く複雑なタスクを遂行する能力も維持しています。
このモデルは、大規模なコードベース全体にわたって、より深い分析を継続できます。具体的には、セキュリティに関連するコンポーネントの特定、脆弱なコードへの到達可能性の追跡、管理された環境での問題の検証、パッチの開発とテスト、人によるレビューに向けたエビデンスの準備などを行えます。目的は、防御側が修復対応の一連のプロセスを最後まで進められるよう支援することであり、単に検出結果を増やすことではありません。
エージェントがソフトウェア環境内で既知の脆弱性を再現できるかを測定する CyberGym において、更新版 GPT‑5.5‑Cyber は、単一モデル評価で 85.6% を記録しました。これは GPT‑5.5 の 81.8% を上回る結果です。これは、単一モデルとして当社がこれまでに測定した中でも特に高い CyberGym スコアです。
GPT‑5.5‑Cyber は、要求水準の高い実世界のセキュリティベンチマークでも GPT‑5.5 を上回りました。ExploitGym では 39.5% を記録し、GPT‑5.5 の 25.95% を上回りました。ExploitGym は、既知の脆弱性を利用して、不正なコード実行を実現する実用的なエクスプロイトを生成できるかどうかを評価するベンチマークです。複雑なソフトウェアを対象とした長期的な脆弱性探索と概念実証(PoC)の生成を評価する SEC-bench Pro では、GPT‑5.5‑Cyber は 69.8% を記録し、GPT‑5.5 の 63.1% を上回りました。
ベンチマークだけでは全体像は見えてきません。実際に重要なのは、モデルが本物の脆弱性を見つけ、実際に対応が必要な問題をノイズから切り分け、防御側が安全に修正を適用できるよう支援できるかどうかです。協調的な情報開示が完了したものから、複雑なリポジトリや実際の修復ワークフローにおけるモデルの性能評価を継続しています。
当社は、本日の発表内容や今後予定しているモデルリリースへの準備を含め、サイバー分野における当社の取り組みについて、米国政府と継続的に対話を行ってきました。これには、GPT‑5.5 および GPT‑5.5‑Cyber の導入前テストに関する Center for AI Standards and Innovation(CAISI)との継続的な連携に加え、最近の大統領令(新しいウィンドウで開く)および関連する業界標準の実施に向けた Office of the National Cyber Director(ONCD) および Office of Science and Technology Policy(OSTP) との協力も含まれます。
大半の防御側にとって、Trusted Access for Cyber と Codex Security を備えた GPT‑5.5 が、引き続き適切な出発点となります。GPT‑5.5‑Cyber は、正当な権限に基づく業務で、高度なサイバー能力とより柔軟な応答が求められる検証済みの防御側を対象としています。また、より厳格な本人確認、監視、範囲を限定した制御、レビューと組み合わせて提供されます。Daybreak の初期の取り組みを通じて、GPT‑5.5 と Codex Security は、Firefox、V8、Safari、OpenBSD、FreeBSD、HTTP/2 実装など広く利用されているシステムにおいて、防御側による脆弱性の特定と検証を支援してきました。
この取り組みの拡大の一環として、主要なセキュリティソフトウェア企業やサービスプロバイダーとともに OpenAI Daybreak Cyber Partner Program を開始します。本プログラムを通じて、参加パートナーは、ほとんどの防御的サイバーセキュリティワークフロー向けの主要モデルである GPT‑5.5 with Trusted Access for Cyber を、自社のセキュリティ製品やサービスに組み込んで顧客に提供できます。これにより、顧客はモデルの防御機能を活用してソフトウェアの耐障害性を高められる一方、モデルへの直接アクセスは参加パートナーに限定されます。

また、こうした機能をセキュリティエコシステム全体で責任ある形で展開できるよう、プログラムパートナーと連携しながら、安全対策、モニタリング、不正利用防止基準の強化を進めていきます。まずは一部のパートナーから開始し、今後数か月かけて対象をさらに多くの組織へ広げていく予定です。
Patch the Planet は、メンテナーが脆弱性の発見から修正までを進められるよう支援する取り組みです。Trail of Bits とともに立ち上げ、HackerOne および Calif と連携して進めるこの取り組みでは、専門のセキュリティ研究者に資金を提供し、Codex Security や高度なモデルを活用してオープンソースのメンテナーと直接協力できるよう支援しています。
オープンソースソフトウェアは、製品、公共サービス、開発者ツール、重要インフラなど、さまざまな分野を支えています。広く利用されているネットワークライブラリの脆弱性は、それに依存する数千ものシステムに影響を及ぼす可能性があります。しかし、その多くは時間や資金に限りのある小規模なチームによって支えられています。Linux Foundation と Harvard の調査(新しいウィンドウで開く)によると、調査対象となった広く利用されているプロジェクトの 94% では、1年間に追加されたコードの 90% 以上を担っていた開発者は10人未満でした。
AI によって、より多くの脆弱性をより迅速に発見し修正できるようになる一方で、メンテナーの負担も増えています。大量のレポートを精査しなければならず、その多くは質の低い誤検知だからです。報告件数だけが増え、修正に充てる余力が増えない状況を、メンテナーに押し付けるべきではありません。そのため Patch the Planet では、専門家によるセキュリティレビューを中核に据えています。
各支援プロジェクトは、当社のセキュリティ研究者と支援対象のメンテナーとの協議から始まります。メンテナーは、優先事項や運用方針、既存の脆弱性開示プロセスを共有します。その後、Patch the Planet のセキュリティ研究者が一連の作業を管理し、脆弱性やパッチをメンテナーに届ける前に検証と重複排除を行います。これにより、メンテナーの負担を大幅に軽減し、修正対応を迅速化します。
参加プロジェクトには、ChatGPT Pro、Codex Security の条件付きアクセス、およびコア開発、メンテナー向けの自動化、リリースワークフローに利用できる API クレジットが提供されます。
複数のプロジェクトにまたがって実施した最初の5日間のスプリントでは、レビュー対象となる数百件の問題が見つかり、数十件のパッチがマージされ、さらに多くのパッチ作業が進行しています。また、再利用可能なファジング、バリアント分析、差分テスト、仕様ベーステストのワークフローも整備されました。詳細は Trail of Bits のブログ(新しいウィンドウで開く)をご覧ください。
脆弱性を見つけることも重要ですが、本当に世界を守るのは修正を確実に反映させることです。そのためには、協力とコミュニティの支えが欠かせません。
また、世界各国の政府や機関と緊密に連携し、防御的なサイバーセキュリティ能力の強化と重要インフラの保護に取り組んでいます。サイバー分野でますます高度な能力を備える AI モデルに備え、米国政府および関係する連邦機関と緊密に連携してきました。この1か月で、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、韓国、および ENISA をはじめとする EU 機関との間で、Trusted Access for Cyber のパートナーシップを構築しました。また、サイバー分野や試験・評価、その他の共通の関心領域において、英国政府との信頼に基づくパートナーシップも拡大しています。
今後は、政府ネットワークを含む重要インフラの対象事業者と直接連携し、それぞれが運用するシステムに合わせた安全対策を開発していく予定です。この取り組みの目的は、高度な AI を防御側にとってより有用なものにすると同時に、悪意ある攻撃者が現実世界に被害を及ぼしにくくすることです。
また、法人顧客や信頼できるパートナーと連携し、各組織が運用または保護するシステムに関するより広範なコンテキストや識別情報を取り入れることで、サイバーセキュリティ対策を強化し、重要サービスを狙った有害なサイバー活動を防ぐ能力の向上を図ります。
Daybreak は、モデル、Codex Security、Patch the Planet、専門研究者、メンテナー、セキュリティパートナー、重要インフラ事業者、信頼できるアクセス制御を結集し、人間の防御側がこうした課題に立ち向かえるよう支援します。
官民を問わずさまざまな組織が OpenAI Daybreak と連携し、自ら開発・利用するソフトウェア全体にわたって脆弱性の特定、検証、修正に取り組むことができます。開発者やメンテナーは、自ら管理するコードに対して Codex Security を実行し、検出結果を確認したうえで、修正の反映を進めることができます。セキュリティパートナーや実務担当者は、当社のフロンティアモデルを活用して防御ツールを強化し、その機能をより多くの組織へ迅速に提供できます。
目指しているのは、モデルを使って脆弱性を見つける段階にとどまらず、より安全なソフトウェアと強靭なサイバー環境の実現につなげることです。


