Arco Educação、ブラジルでGPT-4を活用し指導と学習を改善

ブラジル最大の教育運営システムArco Educaçãoは、教育現場における最重要事項、すなわち「生徒の学びを支援すること」に教師が集中して取り組むことを可能にするツールを構築するため、OpenAIと連携を図っています。「Arcoの製品は、教師によって教師のために作られました」とCEOのAri de Sá Cavalcante氏は話します。「当社のAI戦略では、教育者が自由に使える時間を増やし、生徒一人一人の学習にさらに集中して取り組めるようにすることを目指しています」
教師第一のアプローチ
ブラジルでは、教師が平均して勤務時間の3分の1を事務作業に費やしています。これは、世界平均を40%上回る時間に相当します(OECD 2018)。そして残りの3分の2の時間が授業の計画、採点、その他の授業運営のための業務に費やされています。Arco Educaçãoは、この負担を軽減し、教師が生徒に質の高い指導を提供するためにより多くの時間を割けるようAIを活用しています。
「当社のAI製品計画は、何百人もの教育者が協力する刺激的な共同策定プロセスによって形成されました。教師を中心に製品開発を行うことで、日々の学校生活で本当に求められていることに応えられるよう徹底しています」
ブラジルの27の州の11,000校以上で導入されているArcoは、その信頼できる名前と学校との深い関係から、教師が日々直面している課題や人工知能が有意義な影響を与えることができるエリアに関する独自のインサイトを取得しています。
OpenAIを選択
さまざまな生成AIモデルを評価し、Arcoは3つの理由でOpenAIを選択しました。
- ブラジルポルトガル語での圧倒的な性能:Arcoのデータサイエンスチームが厳しい実験を実施した結果、ポルトガル語の教育的なコンテンツの作成と評価においてGPT‑4が90%の精度を達成しました。次に優れたモデルの精度は73%でした。
- 品質と信頼性:Arcoの教育チームが生成した質問を評価したテストにおいて、GPT‑4は次の優れたモデルの承認率56%を優に超える70%の承認率を達成しました。さらにArcoは、バージョンアップごとに品質を改良するため、GPT‑4を使ってのファインチューニングも活用できました。
- コスト効率:Arcoは、コストと性能のバランスをとるため、OpenAIモデルを組み合わせて導入しています。GPT‑4o miniやGPT‑3.5などの軽いモデルをファインチューニングすることで、Arcoはコストを管理しつつ、質の高い結果を維持しています。
Teacher Assistantの導入
授業計画は、教師にとって最も時間がかかる業務です。自閉症、ADHD(注意欠陥多動性障害)、ディスレクシアなどさまざまな学習のニーズへの対応が求められるクラスの場合は特に時間がかかります。ブラジルでは、170万人以上の生徒が特殊支援学級に通っているため、インクルーシブな授業計画の策定は、教師に非常に大きな影響を及ぼしています。現在教師は、インクルージョン支援センターと連携し、生徒一人一人に合わせて完全な個別教育計画(IEP)を策定しようとしていますが、各授業の計画には何時間もの時間がかかる可能性があります。Teacher Assistantは、このプロセスを大幅に短縮することを目的としています。高校教師のFernando氏は次のようにコメントしています。「Teacher Assistantのおかげで、時間を最適化し、コースのカリキュラムに沿った授業計画の策定や教室でのアクティビティの考案などの作業に費やしていた時間を節約できるようになりました。Teacher Assistantは、新たなアイデアに繋がる提案を提供してくれます。本当に重要なことに使える時間が増えたことは、生徒にとってもプラスになっています」

Teacher Assistantは、教師が通常の授業計画を作成し、特に学習障害のある生徒をはじめ、一人一人の生徒のニーズに合わせて計画をカスタマイズする上で役立っています。このツールは、教育とインクルージョンの専門家のガイダンスに従い、インクルージョンの元型とプロトコルを体系化して開発されました。その後、各生徒のプロフィールに基づいて質問と活動を教師が導入できるようにArcoはOpenAIモデルを活用しています。現在教師は、Assistantに対して生徒のインクルージョンのニーズを説明するだけで、カスタマイズされた授業計画を生成できます。プライバシーを維持するため、教師だけがアップロードされたデータにアクセスできる体制が整えられています。高校のカリキュラム&指導部門責任者Marcia氏は次のように話します。「Teacher Assistantは、教師に自信と自主性を提供します。さまざまな学習ニーズを持つ生徒の保護者様にとって、インクルージョンを実現する計画とツールだけでなく、生徒一人一人に合わせてカスタマイズされた計画を学校が提供していると知ることは安心に繋がります」
「当社は、すべての生徒が光るものを持っており、一人一人が個性を発揮するために学習していると考えています。当社の教育プラットフォームのAI搭載ツールは、生徒の学習意欲を高めるだけでなく、生徒一人一人の学習を支援するインサイトとリソースを教師に提供するカスタマイズされた教育体験を実現するために欠かせない存在です」
明るい未来に向けた計画
Arcoは、今年の年末までに600校に導入し、約7万人の生徒にプラスの影響を与えることを目指し、50校でTeacher Assistantの試験導入を開始しています。2025年Arcoは、これらのソリューションを300万人の生徒で構成される顧客基盤に展開することを目指しています。この段階的なアプローチには、継続的なテストとツールの品質と信頼性の改善が含まれる予定です。長期的な計画として、Arcoはブラジルとラテンアメリカ全土の公立および私立のK-12教育機関(幼稚園年長から高校卒業まで)にTeacher Assistantを拡大することを目指しています。
教育の質を向上するためにAIとテクノロジーを活用するArco Educaçãoの取り組みは、ブラジルの教育現場を抜本的に変える基盤を整えることに繋がっています。教師を戦略の中心に置くことで、ArcoはAIに基づく教育のイノベーションをブラジルおよびそれ以外の地域の教室にもたらす存在として最前線で取り組んでいます。