シンプレクス、Codex で人と AI の新しい開発体制を構築
Codex を主力コーディングエージェントに据え、シンプレクスは人と AI が協働する新しいシステム開発の形を具体化しています。

結果
70%
Codex を用いた開発における1画面あたりの工数削減時間
結果
40%
Codex を用いた設計における1画面あたりの工数削減時間
結果
17%
Codex を用いた内部結合テストにおける工数削減時間
シンプレクスは、コンサルティングからシステム開発、運用までを一気通貫で提供するテクノロジーパートナーです。これまではシステム開発の生産性向上に向けて、生成 AI 活用の効果を定量的に検証し、その成果を複数案件へ横展開してきました。現在はその知見を基に、生成 AI 活用を全プロジェクトに対し適用検討を行い、適用 PJ において AI ネイティブなデリバリーを行うことで、組織全体の生産性向上の実現を目指して推進しています。
2022年の ChatGPT 登場を受けて、シンプレクスでは2023年に CoE を設立し、従業員が AI を活用するための基盤整備と、AI ネイティブな開発プロセスの検証を進めてきました。こうした取り組みを経て、同社は ChatGPT Enterprise を全社導入し、主力のコーディングエージェントとして Codex を採用しています。これにより、システム開発の進め方そのものを見直す取り組みが本格化しています。
従来のシステム開発では、要件定義、設計、実装、テスト、運用といった工程を、人が役割分担しながら進めるのが一般的でした。設計書の読み解きや実装方針の検討、レビュー観点の整理、不具合の切り分けや修正といった作業も、各担当者の経験や知見に依存することが多く、品質や開発スピードは、個人のスキルやチーム内での知識共有のあり方に大きく左右される面がありました。
AI の登場により、システム開発の場面でも生成 AI の活用が進み、人間をサポートする「補助ツール」として使われるようになりました。さらに、昨今のエージェントの進化により、AI に複数ステップのタスクを任せられるようになり、開発現場でも AI は単なる「補助ツール」を超え、実際に作業を前に進める存在として活用され始めています。
こうした AI の活用を広げるために、シンプレクスは ChatGPT Enterprise を全社展開の基盤として採用し、Codex をメインのコーディングエージェントとして利用しています。
シンプレクスにおける Codex の役割は、コード生成にとどまりません。設計書や見本実装を入力にしたバックエンド・フロントエンドのコード生成、ユニットテストを含む各種テストコードの作成、非機能要件のレビューと修正、内部結合テストで見つかった不具合の修正など、設計からテストまで幅広く活用されています。さらに、Codex CLI から Python スクリプトを実行し、バックエンド/フロントエンド実装から E2E テストで見つかった不具合の修正までを連続的に進める、自動化フローの検証も進めています。
Codex を全社展開した理由は3つあります。第一に、社内評価でコスト・精度・機能性のバランスが最も良かったこと、第二に、活用ノウハウの蓄積と普及の効率化のため主力エージェントを明確にしたかったこと、第三に、ChatGPT Enterprise のシートをベースに安全かつ素早く広げやすかったことです
シンプレクスでは、現在、CRUD 機能を中心とした Web アプリケーション開発を対象に、Codex と ChatGPT を用いた AI 駆動開発の手法整備と効果検証を進めています。
その結果、以下の削減効果が確認されました。
- 設計では1画面あたりの工数を40%削減
- 開発では1画面あたりの工数を70%削減
- 内部結合テストでは工数を17%削減
※ システムの前提条件やインプットデータが異なる場合、AI の特性上、同様の成果を保証するものではありません。
さらに、単なる工数削減に留まらない効果も生まれていると、氏弘一也氏は説明します。「Codex によって、少人数でも設計を進めやすくなり、複数ファイルにまたがる仕様のレビュー精度も高まりました。さらに、シニア人材が持つ希少な知見を、より広く開発に生かせる体制も整いつつあります。結果として、人は最終判断と品質責任に集中し、AI は実装、レビュー、修正を担うという役割分担が、現場の中で明確になりつつあります」
シンプレクスのこれまでの歩みから、ChatGPT Enterprise と Codex の導入成功についての学びをご紹介します。
- 生成 AI の導入を「試す」段階で終わらせず、定量評価まで進めたことが、実プロジェクト展開の土台になった
- ツール導入だけでなく、ガイドライン、教育、現場フォローまで含めて仕組み化したことが、組織定着を支えた
- 主力となる AI を明確にし、ノウハウを集中的に蓄積したことが、普及のスピードを高めた
- 検証チームと推進チームを分け、手法確立と横展開の責任を明確にしたことが、継続的な改善につながった
- AI に任せる領域と、人が最終責任を持つ領域を整理したことが、品質とスピードの両立に寄与した
Codex の価値は、単にコードを速く書けることではないと思っています。頭の中の設計ノウハウやレビュー観点を、AI が使える形に変えることで、個人の力を組織の再現性ある競争力へ変えられる点にあります。人が最終判断と品質責任を担い、AI が実装・検証・修正を高速に回す。この分業が前提になることで、開発プロセスそのものが変わっていきます。その結果、単に開発スピードが上がるだけでなく、より多くの改善や挑戦を継続的に行えるようになり、顧客に提供できる価値の質と総量そのものを引き上げられると感じています。
シンプレクスが目指しているのは、従来の工程をそのまま AI に置き換えることではなく、AI を前提に開発プロセス自体を再設計することです。これまでの、「要件定義、設計、実装、テスト、運用」という直線的な流れではなく、ルールや制約を先に定義し、統合と自動評価を繰り返しながら品質を高めていく開発のあり方を視野に入れています。
氏弘氏は、「データベースや API カタログ、標準化された設計ルールが整えば、Codex が実装や検証の多くを担い、比較的シンプルなシステムでは、RFP を起点にプロダクトを自動生成できる可能性がある」と展望を語ります。さらに今後は、機能によってはソースコードとして作るよりも、AI エージェントが直接業務を遂行する方が適した領域も増えていく可能性も考えています。コードを書く工程の効率化にとどまらず、システムをどう作り、どう維持し、どこに人が責任を持つのか。その前提そのものを見直すことが、シンプレクスが次に挑もうとしているテーマです。


