救命治療の開発を加速

モデルナは OpenAI と提携し、ChatGPT Enterprise を社内の数千人の従業員に導入します。今、あらゆる機能が AI によって強化され、あらゆるチームの影響力を加速・拡大する斬新なユースケースやGPTが生み出されています。

モデルナは10年以上にわたり、科学、技術、健康の交差点にいます。モデルナの使命は、mRNA 医薬品を通じて人々に最大限の影響を与えることであり、新型コロナワクチンはその最もよく知られた画期的な製品です。

同社は2023年初頭から OpenAI と提携しています。現在、ChatGPT Enterprise は、モデルナの各機能における運営方法を進化させています。

モデルナは、mRNA 医薬品の開発に自社プラットフォームを活用し、RSVワクチンから個別化がん治療薬まで、今後5年間で最大15の新製品を投入しようとしています。その野望を達成するために、モデルナは人間中心、技術優先のアプローチを採用し、人間の能力と臨床成績を向上させることができる新しい技術と革新を常にテストしています。

モデルナが生成 AI を採用したのは、モデルナが他のテクノロジーを採用したのと同じ方法で、患者にプラスの影響を最大限に与えるためにデジタルの力を利用するという考え方からです。AI を開花させるためには、まずユーザーから始め、変革のための強固な基盤を築くことに投資する必要があると考えました。

モデルナの目標は、生成 AI の100%採用と、デジタルソリューションにアクセスできる全従業員による習熟を6か月で達成することでした。「パラダイムシフトに関しては集合知を信じています。全員が一緒になり、全員が発言権を持ち、誰も取り残されないことです」と Miller 氏は述べます。」このため、モデルナは専任の専門家チームを配置し、特注の変革プログラムを推進させました。そのアプローチは、個人的、集団的、構造的なチェンジマネジメントの取り組みを組み合わせたものでした。

個々のチェンジマネジメントの取り組みには、綿密な調査と試聴プログラムのほか、対面、オンライン、AI 学習専用コンパニオンによるトレーニングが含まれます。「AI を使って AI を教えることが成功の鍵でしたた」と Miller 氏は指摘します。集団的なチェンジマネジメントの取り組みとして、AI プロンプトコンテストを実施し、AI パワーユーザーの上位100人を特定し、その後、社内の生成 AI チャンピオンのコホートとして構成されました。モデルナの学習文化により、事業分野と地域ごとの就業時間が導入され、AI に関する社内フォーラムを通じて拡大され、現在では週2,000人が積極的に参加しています。最後に、構造的なチェンジマネジメントの取り組みとして、リーダーシップ・ミーティングやタウンホール、社内外の専門家を招いたインセンティブ・プログラムやスポンサー・イベントを通じて、モデルナのCEOや執行委員会のメンバーを巻き込み、AI 文化の醸成を図りました。

この取り組みは、2023年初頭に社内 AI チャットボットツール「mChat」を立ち上げ、早い段階での成功につながりました。OpenAI の API をベースに構築された「mChat」は成功を収め、社内の80%以上の従業員に導入され、ChatGPT Enterprise の導入に向けて強固な基盤を築きました。

「ChatGPT Enterprise の発売に伴い、モデルナはmChatを万能AIツールとして開発し続けるか、従業員が ChatGPT Enterprise にアクセスできるようにするか、決断を迫られました。」

「科学系企業として、当社はあらゆることを研究しています」と、モデルナの AI 製品・プラットフォーム責任者である Brice Challamel 氏は述べています。Challamel 氏のチームは、mChat、Copilot、ChatGPT Enterprise を比較する大規模なユーザーテストを行いました。「その結果、ChatGPT Enterprise のネットプロモータースコアが非常に高いことが分かりました。これは会社にとって圧倒的に好都合なソリューションだったので、これを強化することに決めたのです」と Challamel 氏は説明します。

従業員が簡単に独自のGPTを作成できるようになれば、唯一の限界は彼らの想像力だけになります。「私たちはバケツを満たすためにいるのではなく、火を灯すためにいるのです」と Challamel 氏は続けます。「何百ものユースケースがチーム全体にプラスの価値を生み出し、火が燃え広がるのを目の当たりにしました。会社にとって革命的な何かを掴んだと思いました。」

会社の業績は予想以上です。ChatGPT Enterprise の導入から2か月以内に、以下の成果が得られました。

• モデルナは全社で750のGPTを導入
• 週間アクティブユーザーの40%がGPTを作成
• ChatGPT Enterprise の会話はユーザー1人当たり週平均120回
  

モデルナが ChatGPT Enterprise とともに構築し、開発と検証を続けている多くのソリューションのひとつが、「Dose ID」と呼ばれるGPTパイロットです。Dose ID は臨床データを見直し分析する可能性があり、大規模なデータセットを統合し視覚化することができます。Dose ID は、臨床試験チームのデータ解析アシスタントとして使用され、チームの臨床判断と意思決定を補強することを目的としています。

「Dose ID は、他の投与量よりも特定の投与量を選択した理由を裏付ける根拠を与えてくれました。カスタマイズされたデータ可視化を作成することができ、研究チームメンバーがGPTと会話してデータを多角的に分析するのにも役立っています」とモデルナの臨床開発ディレクター、Meklit Workneh 氏は語ります。

Dose ID は、ChatGPT Enterprise の高度なデータ解析機能を使用して解析を自動化し、標準的な用量選択基準と原則を適用することで、臨床試験チームが選択した最適なワクチン用量を検証します。Dose ID は根拠を示し、出典を参照し、主要な調査結果を示す有益な図表を作成します。これにより、後期臨床試験でさらに開発を進める前に、安全性を優先し、ワクチンプロファイルを最適化するために、人間が主導し、AI の意見を取り入れながら、詳細な見直しを行うことができます。

「Dose ID GPT は、チームとしてできる仕事の量を増やす可能性を秘めています。私たちは、このような非常に大量のデータを総合的に評価し、非常に効率的で安全かつ正確な方法で、セキュリティとプライバシーの確保に貢献することができます」と Workneh 氏は付け加えます。

モデルナの法務チームは、ChatGPT Enterprise を100%導入しています。「私たちは、患者にとって本当にインパクトのある問題に時間と注意を集中することができます」と、モデルナの最高法務責任者である Shannon Klinger 氏は述べます。

現在、Contract Companion GPT を使用すると、どのような機能でも、明確で読みやすい契約書の要約を得ることができます。Policy Bot GPT を使用すると、従業員が何百ものドキュメントを検索することなく、社内ポリシーに関する回答を素早く得ることができます。

モデルナのコーポレートブランドチームも、ChatGPT Enterprise を活用する方法をたくさん見つけています。同社には、四半期ごとの決算説明会のスライド作成を支援するGPTと、バイオテクノロジーの専門用語を投資家とのコミュニケーション用に親しみやすい言葉に変換するGPTがあります。

「私たちは自分の世界の中だけで考えがちですが、AI はそのブランドを越えて考えるように助けてくれます」と、モデルナの最高ブランド責任者、Kate Cronin 氏は説明します。「規制当局や医師とは違って、母親が知りたいのは何でしょうか。どのようにすれば、さまざまな聴衆に効果的にストーリーを伝えることができるのでしょうか。そこに大きなチャンスがあると思うのです。」

今後数年間で複数の製品を発売するという野心的な計画を持つモデルナは、AI を成功のための重要な要素、そしてイノベーションにおける新たなベンチマークを設定しながらビジネスとして無駄のない状態を維持する能力として捉えています。

「旧来のバイオ医薬品のやり方でやるとすれば、今日10万人もの人が必要かもしれません」と Bancel 氏は続けます。「私たちは、テクノロジーと AI を使って会社を拡大することで、数千人規模で患者へのインパクトを最大化できると心から信じています。」

モデルナは、過去10年をかけて堅牢な技術スタックとデータプラットフォームを構築してきたため、生成 AI を活用するのに適した立場にあります。同社は学習と好奇心の文化を育み、新技術の採用や AI ファーストのソリューション構築に秀でた従業員を惹きつけています。

モデルナのビジネスプロセスをより効率的で正確なものにすることで、AI の活用は最終的に患者の転帰改善につながります。「OpenAI の全チームに、そして彼らが私たちのチームと時間を割いて関わってくれていることに本当に感謝しています。共に、より多くの命を救うことができます」と Bancel 氏は語ります。