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OpenAI

メルカリは GPT‑4o mini を活用して、出品体験の改善と出品者へのサポートを強化

Mercari logo over a background of three bold, colorful 3D blocks in red, blue, and yellow, creating a dynamic and modern design.
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日本の誰もが知るフリマアプリ「メルカリ」をはじめ、QRコード決済の「メルペイ」やスポットワークの「メルカリ ハロ」など、日本人の生活や働き方を変革するサービスを次々とリリースする株式会社メルカリ。

フリマアプリのメルカリでは、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」をミッションに誰もがかんたんにモノの売り買いをできるサービスを展開し、モノの「新たな価値」を創造しています。メルカリでは、生成 AI の自社サービスへの導入および社内利用を急速に進め、OpenAI の製品を活用して2つの核となるユースケースを生み出しました。この記事では、メルカリの成功事例および、AI 導入へのストーリーをご紹介します。

メルカリAIアシストで商品の出品体験を改善

2つのユースケースは商品を出品し販売する過程で発生する不便さを減らし、ユーザーを AI でサポートするものです。「出品者側の体験では2つの大きなフェーズがあります。1つ目はメルカリのマーケットプレイスに出品していただくことで、2つ目は出品してから商品を実際に売ることです」と株式会社メルカリの Supply Team Director の菱井康生氏は説明します。2023年10月にローンチされた「メルカリAIアシスト」は、出品者の商品情報を AI を使って最適化します。一定期間売れ残っている商品情報を AI が分析し、商品がより売れやすくなるよう出品者に改善提案を行う機能です。

A Japanese AI assistant chat interface offering options to change a product name or add size details. The design features a white chat window on a gradient background with a red send button.

この機能は OpenAI のモデルを複合的に利用して開発されました。

  • オフライン分析: GPT‑4 が各カテゴリーのトップ商品を分析し、販売の際にキーとなる情報を分析します。
  • オンライン提案: GPT‑3.5 Turbo がユーザーが出品中の商品を評価し、リアルタイムで重要な提案を行います。

この機能の実装後、ユーザーごとの平均売上が増加し、出品品質向上への効果が実証されました。

現在、この機能は「よりシームレスにユーザーが AI を意識しなくても使えるように、出品の体験に統合されています」と菱井氏は話します。

AI出品サポートで瞬時に出品を完了

メルカリは AI を活用した販売体験をさらに進めるために、2024年9月には新機能の「AI出品サポート」をリリースしました。

「メルカリAIアシストの成功が私たちの方向性が間違っていないということを示してくれました」と株式会社メルカリの Head of AI/LLM の Max Frenzel 氏は振り返ります。「一方で私たちは商品出品の体験をさらに改善できると信じていました。そこで私たちはこの商品出品の体験を可能な限りなくしてみようと決めたのです」

「AI出品サポート」では、スマートフォンから写真をアップロードするだけで、簡単に商品を出品できます。AI が製品とそのカテゴリに基づいて関連性の高いカテゴリを提案し、それに対応したタイトルと説明文を自動的に生成します。

AI Listing Support - A smartphone screen displaying a selling interface with a photo of a light blue sweater on a wooden floor. The UI includes options for AI listing support, a camera button, and category selections.

「AI出品サポート」は当初は GPT‑4 を利用して開発されていましたが、GPT‑4o mini に移行し、コスト面とレイテンシの大幅な削減を実現しました。さらにこの移行により、メルカリは出品ごとに複数の画像への対応を可能にし、AI 生成コンテンツの質を大幅に向上させることができました。

また、機能リリースまでの速度も「スピーディーだった」と菱井氏は振り返ります。「構想から約2ヶ月くらいで機能リリースにまで至りました」と菱井氏は説明し、リリース後にもメルカリは生成された文章と実際に出品された文章を比較するなどをして、機能の改善に常に取り組んでいます。

この新機能を通じて、メルカリは短期間で良好な成果を得ることができました。

  • 1分あたり数百以上の出品: 出品に対するコンバージョン率が向上しました。
  • 好意的な評価: 時間の節約と手間の軽減に対してユーザーから高い評価が得られ、初心者でもプロ並みの出品ができるようになりました。

「非常にストレートな成果を上げることができました」と菱井氏は喜びます。これらの機能の導入により出品フローを簡略化することで、出品者によりスムーズかつ満足度の高い体験を提供することに成功しています。

「他のプレーヤーが一時的に OpenAI に並んだり、時には上回ることもありましたが、OpenAI はすぐに新しいモデルを発表し常に頂点に立っています」
Max Frenzel氏、Head of AI/LLM、メルカリ

トップダウンとボトムアップアプローチがメルカリの AI 推進を加速

組織全体での AI の導入・活用にあたり、メルカリの上層部は非常に重要な役割を果たしました。

ChatGPT の登場とその後の AI 技術の急速な発展をきっかけに、メルカリは自社の AI 戦略を見直すことを決定。その際に「経営陣によるトップダウンのサポートがあった」とFrenzel 氏は振り返ります。「メルカリグループの CEO とマーケットプレイスの CEO の2人から、AI の導入にあたって非常に強いサポートを受けました」と話します。

このようなトップダウンの意思決定は、同時に起こっていたボトムダウンからのイノベーションによって強化されました。会社中のデベロッパーが AI ツールを用いた実験を開始し、Slack のボットやウェブアプリケーションをすぐに開発し始めました。「トップダウンとボトムアップのアプローチが導入を推進する上で効果的でした」と Frenzel 氏は説明します。「現在は、全社的にツールや bot を共有できるハブを構築し、AI 統合に向けた協力的な環境を整えています」

トップダウンとボトムアップの双方からのアプローチがメルカリに AI イノベーションを育み、組織全体を通した AI 推進の成功の鍵となりました。

Mercari app interface in Japanese on a smartphone screen, showing a search bar, balance, and liked items, including a light blue sweater, blue watch, and green Starbucks bag. The background has a soft blue and pink gradient.

メルカリの AI の未来

メルカリでは、AI が会社の未来を構築する鍵となると見ています。これはメルカリだけでなくグループの他の製品にも影響します。 「AI がメルカリのエコシステム全体やユーザー体験において変革をもたらす力を持つと信じており、この可能性を最大限に引き出すために、さらなる探求を行っていきます」と Frenzel 氏は話します。

AI/LLM チームは今後3つの目標に向かって進みます。

  1. 主要機能の開発: 「AI出品サポート」のような機能を開発しユーザー体験を改善
  2. AI のビルディングブロックの開発: 部署内に AI 開発者がいなくても顧客に AI ソリューションを提供できるように、すべての部署に AI の基盤コンポーネントを提供
  3. 社内ツールやサービスを革新: AI を活用し、新しいツールを構築することでメルカリグループ全体の生産性を向上

「最新の AI モデルで検索とおすすめ機能をアップデートすることはすでに取り組んでいるプロジェクトのひとつですが、今後は例えば不正検知機能やカスタマーサポートといった分野の AI 導入にも注力していきたいですね。レゴブロックのように AI の機能を製品やサービスに簡単に組み込むことができるビルディングブロックの開発も進めていきたいです」 Frenzel 氏は今後の展望を語ります。

一方で菱井氏の Supply チームでは、販売後の体験の改善も視野に入れています。「メルカリでは出品者に作業が多く存在するというのが特徴です。出品においても様々な作業をしなければならないですし、販売後にも例えば商品の梱包や発送など、IT から離れた作業が多く求められます。梱包方法や、発送方法と発送元の選択など、まだユーザーがペインと感じているところが多くあります。そこに対しても今後は OpenAI と一緒になってサポートしていきたいです」

メルカリでは、OpenAI の最先端モデルを統合し、ユーザーとのすべてのやり取りがプラットフォーム全体の進化を促進するような、シームレスで統合された AI エコシステムを構築することを目標としています。「OpenAI はこのプロセスを実現するために重要なパートナーです」と Frenzel 氏は説明します。「これまでにリリースした主要な機能は、OpenAI のモデルとの連携によって開発されました。私たちは、OpenAI の進展や素早い開発プロセスを非常に信頼しており、この信頼によって、現在の技術にとどまらない未来に可能性を見据えた計画を立てています。私たちは AI の進化を見越し、大胆な挑戦を続けます」

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