
4,000万人以上のユーザーを有するHealthify(新しいウィンドウで開く)はインド最大のヘルスケアプラットフォームであり、AIによって強化されたヘルスコーチングや健康管理を提供し、ユーザーの健康増進と代謝性疾患からの回復を支援するサポートを行っています。コーチングやトラッキング機能にAIを導入して以来、Healthifyはユーザー合計として2,500万ポンド(11340キロ)以上の減量に成功する手助けをしてきただけでなく、OpenAIのAPIを活用することでトラッキングを大幅に簡素化し、コーチングを拡大してきました。

Healthifyは10年以上にわたり、AIを活用して健康とフィットネスにおける行動の変化を促してきたパイオニア的存在です。2018年時点で500万人以上のユーザーを抱え、在籍する数百人の栄養士やトレーナーと無数のメッセージの交換を行ってきたほか、毎月何万時間もの通話や食事・フィットネスプランの提供を行っています。Healthifyのデータパイプラインには元来、どのようなメッセージやプランがより高いユーザーエンゲージメントやインパクトにつながったかを示すフィードバックループが組み込まれていました。
Healthifyは、この実世界の豊富なコンテキスト情報を利用し、特に世界初のAIを搭載したバーチャル栄養士である「Ria」と、「Coach Co-pilot」と呼ばれるコーチ向けアシスタントを発表したことで、AIの分野で大きな進歩を遂げました。
Riaは階層的LSTM(Long Short-Term Memory)とカスタムNLU(Natural Language Understanding)システムを用いてユーザーの意図を正確に認識し、関連する回答を提供可能です。そして、2020年までに、Riaはユーザーメッセージの大半を直接処理するように。また、Coach Co-pilotと組み合わせることで、コーチらはサービスを大幅にスケールアップし、最大300人のクライアントの同時管理が可能になったほか、パーソナルヘルスコーチングの改善を通じて記録的な高NPSを達成しました。
2021年には、画像から食品を自動認識し、簡単にカロリー計算できるようにする革新的な機能、「Snap」を導入。畳み込みニューラルネットワーク(CNNs)と専有モデルを利用したこの機能は、単一の食品、特にインド料理を正確に認識することができます。これにより、ユーザーのプライバシーを確保しながら、ユーザー固有のコンテクストを取り入れることで一人ひとりに合わせた食事の提案を提供しています。その後、Snapは単一のインド料理の自動認識において、約80%の精度を達成しました。
これらの成功にもかかわらず、Healthifyはいくつかの課題に直面しました。
- パフォーマンス。正確に食品を認識させるためには複数回の繰り返しを必要とし、画像にいくつかの食品が含まれる場合は苦戦しました。その結果、「Snapの使用率は10~20%にとどまった」とHealthifyのCEO Tushar Vashisht氏(新しいウィンドウで開く)は述べています。同様に、Riaはルールベースで動くことから、栄養に関する重要かつ複雑なクエリ(例:昨日の食事は昨夜の睡眠にどう影響した?など)に適切に回答を与えることができませんでした。
- スケール。Healthifyは新しい国を追加するごとに、言語、一般的な食品、運動習慣のモデルのローカライズに多くの労力を費やす必要があり、「東南アジアへの参入には2年かかりました」とVashisht氏は説明しています。
OpenAIとの協力はこうした問題点を克服するための重要な解決策として浮上し、Healthifyのサービスを大幅に向上させ、ヘルステクノロジー領域におけるイノベーションの新基準を打ち立てました。
「可能な限りさまざまな統合を試しましたが、OpenAIが一番でした。」
Healthifyのチームは、AIの導入によりサービスの精度、利便性、スケーラビリティが一夜にして向上すると考え、OpenAIの先進的でシンプルなAPIを用いて迅速にプロトタイプを構築し、モデルのパフォーマンスをテストしました。このパートナーシップが正式に決定するまで、チームはオープンソースモデルを含む多くのモデルを徹底的に評価した結果、
Healthifyは複数の理由からOpenAIと提携するに至りました:
- 最高水準の精度.。GPT‑4 Visionのモデルは世界各地の食品を認識して画像中の複数の食品を検出し、Snapのパイプラインを即座に上回りました。GPT‑4(Ria向け)やWhisper(Coach Copilot向け)もまた、既存のパイプラインや他の生成AIモデルを上回る結果を残しています。
- 統合が簡単。プロトタイプ検証後、本番システムに組み込む段階になると、あとはHealthifyチームは既存のパイプラインにOpenAIのAPIを追加するだけでした。「OpenAIで概念実証を構築し、それを用いて本番システムを構築するのは非常に簡単でした」とVashisht氏は振り返っています。
- シンプルなファインチューニング。HealthifyがOpenAIを選んだ大きな理由の一つに、ニーズに合わせたファインチューニングが可能なことが挙げられます。ファインチューニング用の自社データを準備し、アップロードをするのは簡単でした。また、ほとんど設定をすることなく、自社の使用事例に合わせてOpenAIのモデルをうまく調整することができました。
- 埋め込みモデル。Healthifyは、「2つの食品をテキストマッチを超えていかに一致させるか」という重要な問題解決に向け、埋め込みモデルを使用しました。GPT‑4が返す食品名を自社システムの食品名と一致させる必要があったからです。「GPTは独自のモデルであり、独自の食品名辞書データを持っています。Healthifyも独自の食品名を持っており、それらをマッチングさせる方法を私たちは模索していました」とHealthifyのテクノロジー担当VP、Abhijit Khasnis氏(新しいウィンドウで開く)は説明。「そこで、OpenAIの埋め込みモデルを検証し、GPTが認識した食品名と、埋め込みモデルを用いた私たちの食品名との間でコサイン類似度を評価した結果、高い精度が得られることが分かったのです。」

Snapは現在、GPT‑4 Visionと共に専有モデルのアンサンブル学習を用い、データプライバシーを確保しつつ、ユーザー固有のコンテクストを理解しています。画像解析後、カスタムヒューリスティックモデルが適用され、正確な食品アドバイスの提供が可能になりました。このアップグレードによりSnapの精度は人間の認識に匹敵するレベルに引き上げられ、食事記録プロセスにおける効率化が実現しました。
Riaの最新バージョンは複雑さと能力において大きな飛躍を遂げ、GPT‑3.5や最先端のGPT‑4 Turboを含むファインチューニングされた各モデルのアンサンブルを組み込んでいます。Riaはこうした詳細な設定を行ったことで、Healthifyの広範な文献や、ユーザー一人ひとりのプラットフォーム上での固有の履歴にアクセスし、理解することが可能になりました。これらの統合を経て、Riaは最も包括的かつインテリジェントなバージョンへと変貌を遂げ、一人ひとりに合わせた健康と栄養に関するアドバイスをかつてない規模で提供しています。
そして、全体としてエンゲージメントとリテンション率の急上昇が見られ、ユーザーの健康状態の改善につながりました:
- Snapを使用した食品トラッキングが50%増加。食事の記録とフィットネス目標には関連性があることから、Healthifyのチームはエンゲージメントの向上によりユーザーの健康状態が50%改善されることを予測しています。「エンゲージメント率が50%増加したのを確認できました。体重減少や脂肪減少は記録する食事と強く相関しているため、体重減少にも50%以上の影響が期待できると考えられます」とVashisht氏は述べています。
- 栄養とフィットネスのコーチングを求めてRiaの使用が増加。Riaとの会話の長さが倍増(メッセージ200件以上の会話をするユーザーも)しただけでなく、持続血糖モニター(CGM)の値、Snapの食事ログ、ウェアラブルの睡眠ログを関連付けることで、Riaは「グルコース値が昨日の睡眠にどのような影響を与えた?」のような複雑なクエリにも対応できるようになりました。
- コーチがクライアントに対応する時間は半減。クライアントのAIコーチの使用率にも18%の上昇が見られました。Healthifyのデータを基にしたくスタンフォード大学の研究(新しいウィンドウで開く)によると、AIを活用した人間によるコーチングは、AIだけによるコーチングと比較して、クライアントの体重を70%多く減らすのに役立つことが明らかになっています。AIの導入により、Healthifyのコーチは現在、より多くのクライアントがさらに70%減量するのをサポートできるようになりました。

Healthifyのチームは今後1年以内に、ユーザーが健康的な選択を行うのを積極的に支える、自律型ヘルスケアエージェントの開発という、さらに大きな目標を目指しています。このエージェントはクエリによってトリガされるのを待つのではなく、ユーザーの健康データを自動的に分析し、食事、睡眠、運動のアドバイスを行い、ユーザーの許可があれば、食事の注文や、ジムクラスの予約を行うことも可能です。
サービス開始以来、Healthifyは多くの人々が健康上の目標を達成し、代謝性疾患を予防できるよう支援することに注力してきました。すでに大きな進歩を遂げたHealthifyは今、世界規模の展開を進めています。従来のMLシステムでは東南アジアでのサービス提供までには2年を要しましたが、OpenAIを用いることで、今年中に20カ国でサービスを開始し、「10億人を健康にする」というミッションの実現に近づきつつあります。
「リスク調整済みで、OpenAIと提携すれば、おそらく今年末までに100万人の命を救うことができると考えています。」


