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Genmab社、「どこでもAI」を展開。

バイオテクノロジーの世界大手であるGenmab社(新しいウィンドウで開く)は、がんなどの難病を治療する次世代の抗体療法を切り拓いています。その使命は、革新的な「knock-your-socks-off」(KYSO®)抗体治療で患者の治療に革命を起こすという野心的なものです。 

エグゼクティブバイスプレジデント兼最高医療責任者、実験医薬品部長であるTahi Ahmadi氏は語ります。「Genmabの目標は、AI を当社の全ての活動に統合することです。AI が私たちの科学の質、意思決定、患者に医薬品を届ける効率性に大きく貢献することを期待しています。」

壁に取り付けられたキーボードを打つ、白衣と眼鏡を着用した巻き毛の人物。背景の窓から日光が差し込み、外には木々が見える。研究室での仕事に集中しているように見える。

各業務に ChatGPT を導入

近年で企業規模を3倍に拡大したGenmab社は、AI を活用して業務上の課題に対処し、膨大で複雑な科学データを扱う新しい方法を開発したいと考えていました。 

そこで AI を活用して革新を進めるという戦略的ビジョンの一環として、ChatGPT と提携するユニークな機会を見出し、社員1,000人に対して ChatGPT Enterprise の提供を開始することに。それから1年弱で「AI Everywhere」(どこでもAI)を立ち上げ、社内のほぼ全員が ChatGPT を利用できるようにしました(2000ライセンス以上)。

社員に出発点を提供するため、Genmab社はシンプルながら効果的なアイデアを考えつきました。ChatGPT Enterprise に自身の仕事内容を伝え、「私を手伝うために何ができますか?」と尋ねることを社員に奨励したのです。

ChatGPT のようなツールの導入を拡大することで、Genmab社は社員一人ひとりの継続的学習に投資しています。 

「ChatGPT の使い方を学ぶことは、社員にとって変革をもたらす旅でした。包括的な研修プログラムと個別のガイダンスにより、革新的な思考と問題解決の方法を取り入れる力を彼らにもたらしました。」
Genmab社 ChatGPT プロダクトマネージャー Farhat Siddiqui氏

最近の調査では、社員はChatGPT Enterprise によって週平均3.5時間分の時間を節約できると報告しており、その多くが今やこの新しい補助なくして業務の一部を行うことは考えられないとしています。 

研究、ワークフロー、翻訳に ChatGPT を活用

Genmab社は、現在では100を超えるカスタム GPT を作成しており、文書作成から科学文献の要約、データの単純な分析から高度な分析まで、あらゆる作業をサポートしています。 

最近リリースされた GPT‑4o のビジョン強化により、Genmab社はほんの3ヶ月前まで不可能だった業務に取り組むことができるようになりました。具体的には、このモデルは画像、テキスト、数字を含む複雑な文書を人間のように解釈するようになりました。この進歩は、メディカルアフェアーズ刊行物における事実関係の参照を検証するための新しい、より効率的なアプローチを提供し、このプロセスに必要とされた莫大な時間とコストを削減します。

白衣と保護メガネを着用した3人が実験室にいる。1人が笑顔で器具を調整し、他の2人が側で観察している。明るくプロフェッショナルな場で、背景には実験器具が見える。

Genmab社は最近、革新的なプロジェクトを立ち上げました。GPT‑4o を使用して、臨床試験報告書(CSR)、患者安全性ナラティブ、治験薬(IND)申請書などの臨床試験書類の作成を変革するものです。GPT‑4o を臨床データおよび臨床フィードバックと直接統合することで、モデルが自身の草稿を継続的に改善し、複雑な問題を解決する人間のように動作するようトレーニングしました。 

Genmab社は、OpenAI モデルを使用して複雑な科学文書を人間さながらの精度で翻訳する最先端のツール、AI Translator GPTを迅速に開発しました。このモデルは人間の翻訳チームを模し、翻訳者、編集者、さらには複雑な生物学的コンテンツに特化したエージェントなどの役割を担います。また、独自の逆翻訳プロセス(誤訳を確認し、新たな翻訳編集サイクルを指示するため)も含まれるほか、必要に応じて英語から日本語を経由して中国語に翻訳するための段階的言語アプローチも採用し、翻訳時間を従来の数週間からわずか数時間、数分に大幅短縮し、有意なコスト削減を実現します。

「OpenAI とのパートナーシップは、Genmab のイノベーションへのコミットメントを示すだけでなく、全社員に内在するアルゴリズムリーダーとしての才覚を引き出すことで、大規模言語モデルの潜在能力を真に解き放ち、業務を改善したり、時には再考したりするための AI の斬新な活用方法を発見していくことを目的としています。」
Genmab社 データサイエンス・AI部 SVP兼グローバル責任者 Hisham Hamadeh氏

数字で見る:

  • 100以上のカスタム GPT を構築し、全社に展開
  • ChatGPT Enterprise の会話はユーザー1人当たり週平均120回
  • 週平均3.5時間の時間節約

Genmab社は人工知能のような新興技術の利点とリスクの両方を認識した上で、ツール導入前に OpenAI のセキュリティとデータプライバシー管理を評価し、導入後も定期的にレビューと評価を行い、コンプライアンスに準拠するだけでなく、責任ある透明性のある使用を保証しています。

背景に白衣を着た人物が立ち、大きく複雑な実験器具や機械に囲まれている。手前にはロボットアームや様々な科学機器があり、研究室環境における高度な自動化に焦点が当たっている。

科学の発展のために有意義なパートナーシップを構築

Genmab社が OpenAI と直接連携することで、科学の進歩を前進、加速させるという使命を共有する AI の専門家と緊密に業務を進めています。

Hamadeh氏は話します。「クラウドプロバイダーの採用も検討しましたが、OpenAIとの直接的な関係を重視しています。OpenAI のチームと仕事をすることで、新しい施策で当社と連携し、当社ソリューションの能力を押し上げることができる、応用、研究、展開を専門とする組織にアクセスできるのです。」 

バイオ製薬業界では、前例のないレベルの推論と理解を可能にする、より強力で効率的なモデルを含む進歩が期待されています。AI は、こうした分野でさらに不可欠なものとなるでしょう。

Genmab社 AI研究室長のScott Ogden氏は言います。「当社のビジョンは、単にプロセスを合理化するだけではありません。治療法を発見、開発し、患者様に提供する方法を根本的に変革することを目指しています。」