Circles、OpenAI 技術で通信サービスをパーソナライズ
Circles は OpenAI API でサポートを個別最適化し、問題をリアルタイムで解決。シンガポールなどの市場で ARPU を 22% 向上させました。

22%
AI によるパーソナライゼーションでシンガポールの ARPU が向上
9%
AI による提案の導入後に解約率が低下
65%
CareX によるカスタマーサポートの自動解決率
29%
設計、コーディング支援、単体テストへの Codex 活用による開発効率の向上
通信事業者は、利用状況、請求、ネットワーク活動、位置情報など豊富な顧客シグナルを保有していますが、それらを適時かつ個別に最適化したアクションへつなげることは依然として困難です。Circles は、この課題を軸に通信サービス体験を再構築する好機と捉え、OpenAI を活用して、サポート、パーソナライゼーション、運用、収益化をリアルタイムで連携できる AI ネイティブな通信事業者向け基盤を構築しました。
その成果が、OpenAI の API プラットフォームを活用した対話型インターフェース「AI Concierge」を中心に据えた顧客体験です。シンガポールでは、Circles の AI によるパーソナライゼーションが、ARPU の 22% 増加と解約率の 9% 低下に貢献しました。AI Concierge を支えるマルチエージェント・アーキテクチャ「CareX」は、現在、カスタマーサポートで 65% の自動解決率を実現しています。
シンガポールで創業した Circles は、デジタル通信事業者による AI を活用した顧客体験の立ち上げと運用を SaaS プラットフォームで支援するテクノロジー企業です。同社はシンガポールで、自社の一般消費者向け通信事業「Circles.Life」も運営しています。2014 年創業の Circles は、6 大陸 14 か国の通信事業者と連携しています。
従来の通信事業者のサポートは、多くの場合、問題が起きてから対応するものでした。顧客は問題が起きた後、メニューをたどり、同じ情報を何度も伝え、サポートを待たなければなりません。通信事業者は、利用状況、請求、ネットワーク活動、位置情報など豊富な顧客データを保有していますが、それらのシグナルを適時かつ個別に最適化したアクションへつなげることは、依然として課題でした。この課題に対応するため、Circles は OpenAI API 上に AI Concierge を構築し、先回りした状況対応型の顧客エンゲージメントを実現する対話型インターフェースを開発しました。
AI Concierge は、検索、アカウント管理、サポート、個別に最適化した提案を 1 つの体験に統合します。ローミングオプションの閲覧や請求問題の確認といった顧客のリアルタイムな状況を把握し、リクエストを適切な専門エージェントへ振り分け、関連する対応を提案して問題を解決します。顧客が同じ情報を繰り返したり、複数の手順をたどったりする必要はありません。
「AI は、時代遅れの顧客体験をユーザーに押し付けるのではなく、ユーザーの可能性を広げるものであるべきです。Circles がこのビジョンを世界規模で展開するうえで、OpenAI は極めて重要な役割を果たしています。AI Concierge により、単純な回答の提供を超えて現実の成果を生み出し、コストとレイテンシーのバランスも取りながら、通信事業者と顧客双方の価値を最大化しています」
CareX は、Circles の AI Concierge を支える独自のマルチエージェント・アーキテクチャです。各顧客の履歴と現在の行動を把握するオーケストレーション・エージェントと、請求、契約、ネットワーク管理、アカウントサービスを担う専門エージェントを組み合わせています。
従来のチャットボットとは異なり、CareX は顧客の依頼を理解し、対応して、解決まで導くよう設計されています。たとえば顧客から請求に関する問い合わせがあった場合、オーケストレーション・エージェントは、顧客のアプリ利用状況、アカウント履歴、依頼内容をまとめたうえで、適切な専門エージェントへ振り分けます。エージェントには、問題解決に必要な情報だけが渡されます。必要に応じて、AI エージェントはすべての状況情報を添えて、人間のエージェントへシームレスに引き継ぎます。
このアプローチは、すでに測定可能な成果を上げています。初期導入では、ある通信事業者が最初の 1 週間で 55% の自動解決率を達成しました。現在、CareX は対応対象のワークフローにおけるカスタマーサービス対応の 65% を、人の介入なしで自動的に解決しています。
CareX はリアルタイム音声サポートへと対応を広げ、テキストと音声を含むワークフロー全体で 95% の自動解決率を目指しています。これにより、多くの顧客が最初に利用する音声チャネルにも同じ AI 主導の解決能力が広がり、より自然で迅速、かつ利用しやすいサービスが実現します。
OpenAI API 上に構築された Xplore IQ は、Circles の AI を活用したパーソナライゼーションエンジンです。顧客行動、アカウント履歴、リアルタイムのシグナルを組み合わせ、ローミングパックや上位プランの提案から、解約の未然防止まで、次に取るべき最適なアクションを特定します。
Xplore IQ は、幅広い顧客に向けた一律のキャンペーンを高度に個別化した提案へ置き換え、通信事業者が最適なタイミングで顧客とつながれるよう支援します。シンガポールでは、Circles が AI による提案を受けた顧客と受けなかった顧客を比較し、その効果を測定しました。AI による提案を受けたグループでは、上位プランへの変更や追加サービスの契約が増え、ARPU が 22% 向上しました。また、適時で関連性の高い提案により、解約率が 9% 低下しました。
Circles は顧客向け AI 製品に加え、エンジニアリング、情報セキュリティ、インシデント管理の各チームで開発スピードを高めるため、社内でも Codex を活用しています。各チームは Codex で設計、コーディング支援、テストを加速しつつ、検証と最終レビューは専門家が担っています。
Codex を設計、コーディング支援、単体テストに活用することで、開発効率が 29% 向上し、エンジニアはより価値の高い製品イノベーションに時間を充てられるようになりました。
通信事業者向け AI の構築には、顧客と事業者の双方を守る安全対策が必要です。Circles は、顧客情報がモデル層へ到達する前に自動制御を適用し、個人を特定できる情報を識別して、LLM に渡す前に暗号化しています。専門エージェントには、顧客プロフィール全体への無制限なアクセスではなく、特定の問題解決に必要な範囲の情報のみへのアクセス権が与えられます。
Circles は、人への引き継ぎ経路、段階的な展開、レート制限、ロールバック機構、商業上の安全対策も採用し、AI を活用した体験が通信環境全体へ拡大しても、運用管理を維持できるようにしています。
Circles は OpenAI とともに、CareX の可観測性を高め、リアルタイム音声サポートを導入することで、AI ネイティブな通信事業者向け基盤を拡張し、より自然で利用しやすい顧客対応を実現しています。長期的には、従来のアプリ操作を超えた、対話型で状況を理解する通信サービス体験を構想しています。これにより、通信事業者は、より先回りした個別最適な顧客エンゲージメントを提供できるようになります。


