Stripe
Stripe は、GPT‑4 を活用して、開発者サポートを強化し、ユーザー企業への理解をより迅速に深めるとともに、プラットフォームやコミュニティのワークフローにおける不正検知も強化しています。

成果
100
GPT-4 を活用した機能開発に取り組んだ従業員数
成果
50
特定された AI の活用ユースケース
成果
GPT-4 が事業分類タスクで人間のレビュワーを上回る精度を達成
今年初め、Stripe は従業員100人に対し、通常業務をいったん離れ、OpenAI の新世代の言語モデル GPT‑4 を活用して、決済プラットフォームの新たな機能を考案するよう呼びかけました。サポート、オンボーディング、リスク管理、ドキュメントの各チームのエンジニアは、自由形式のテキストや画像を理解し、人間のような応答を生成する AI をどのように活用すれば、既存の機能やワークフローを改善・再設計できるかを検討しました。
Stripe の応用機械学習チームでプロダクトリードを務める Eugene Mann 氏は、次のように述べています。「私たちのミッションは、大規模言語モデル(LLM)によって加速できる Stripe の製品やワークフローを特定するとともに、現時点で LLM が効果を発揮できる領域と、依然として課題が残る領域を見極めることでした。」「実際に GPT‑4 に触れたことで、GPT が想像以上に多くの課題を解決できることに気づきました。」
Stripe は、インターネット上で中小企業から大企業まで幅広い事業者の決済を支えています。Stripe は決済プロセスのあらゆる側面を支えるエコシステムを構築していますが、その主な利用者は、Stripe のソフトウェアを活用・統合する開発者です。開発者が Stripe をより効果的に導入・活用できるようになるほど、その普及はデジタル決済の領域全体に広がり、インターネット経済の成長にもつながります。
Stripe は以前から、問い合わせの振り分けや内容の要約といったタスクに GPT‑3 を活用し、サポートチームによるユーザー対応の効率化を図ってきました。

「GPT-4 は画期的な転換点でした。多くの可能性が一気に広がりました。」
導入の舞台裏
Stripe のチームは、GPT‑4 の活用可能性を検証するため、50のユースケースを洗い出しました。その後の精査と検証を経て、サポートのカスタマイズ、問い合わせ対応、不正検知などを含む15のプロトタイプが、プラットフォームへの統合に向けた有力な候補として選定されました。
ユーザー企業への理解を深める
Stripe は、より適切なサポートを提供するために、各企業がプラットフォームをどのように利用しているかを正確に把握し、それに応じてサポート内容を調整しています。これは重要かつ基本的な取り組みですが、多くの人的工数を必要とします。
「ナイトクラブのように、情報が限られており、内容が分かりにくいウェブサイトも多く、実態を把握するには多くの検索やクリックが必要になることがあります」と Mann 氏は述べています。
現在、Stripe は GPT‑4 を用いてこれらのサイトの内容を読み取り、要約を生成しています。その精度は、人手で作成した要約を上回っています。
「結果を人手で検証してみると、人間の方が誤っており、モデルの方が正しいケースがあることに気づきました」と Mann 氏は語ります。「GPT‑4 は、基本的に人間のレビュワーよりも高い精度を示していました。」
ドキュメントに関する問い合わせ対応
Stripe は、充実した技術ドキュメントと強力な開発者サポート体制を通じて、技術的な質問への対応や問題解決を支援しています。これも、開発者支援における重要な柱の一つです。GPT‑4 はこれらの情報をほぼ瞬時に理解し、仮想アシスタントのように機能します。
「GPT は特別な設定をしなくてもすぐに使えます」と Mann 氏は述べています。「大規模言語モデルのソフトウェアとしては、こうした動きをするとは通常想定されていません。」
GPT はユーザーの質問を理解し、代わりにドキュメントを読み込んで関連箇所を特定し、解決策を一つにまとめて提示できます。
コミュニティプラットフォームにおける不正検知
悪意のあるユーザーへの対応も重要です。Stripe は Discord などのフォーラム上で活発なコミュニティを運営しています。専門的な技術課題について知見を共有できるだけでなく、開発者が将来の仕事につながる機会を得る場にもなっています。一方で、インターネット上の場である以上、悪意のあるユーザーが入り込み、コミュニティメンバーから重要な情報を引き出そうとしたり、一度プラットフォームから排除された後、再び信頼を得ようとすることもあります。
GPT‑4 は Discord 上の投稿の文体を分析することで、Stripe の不正対策チームが確認すべきアカウントを特定し、不正行為者が善良なユーザーを装っていないかを見極めるのに役立っています。GPT‑4 は受信メッセージを確認し、悪意のあるユーザーによる組織的な活動の特定にも役立ちます。
今後の展開
現在、Stripe チームは次の機能展開を見据えた検討を進めています。GPT は、収益モデルを理解し、企業に戦略を提案するビジネスコーチとしての活用も期待されています。GPT の進化とともに、その活用可能性はさらに広がり続けています。
Mann 氏は、自身とチームの取り組みについて「毎日、新しいキャンバスに向き合っているような感覚です」と語ります。
「これまでの成果を振り返ると、いくつかの機能はまるで魔法のように感じられます。」


