国家安全保障における民主的監督の強化
OpenAI は、民主的な監督機関が国家安全保障における政府の AI 利用を把握・監督するために必要な専門知識とツールの構築を支援する、新たな取り組みを開始します。
AI は、民主国家の政府が国民を守る方法を変えつつあります。AI は、サイバー攻撃の阻止、重要インフラの保護、脅威の早期検知に役立ち、危機時には公務員が状況をより明確に把握できるよう支援します。適切に活用すれば、こうしたツールは国家安全保障を強化できます。
民主的監督は、公権力の行使が国民に対する説明責任を果たし続けるために役立ちます。AI によって国家安全保障業務が迅速化し、能力が高まるなか、その業務を監督する機関も歩調を合わせる必要があります。AI は、不足または古くなった文脈、誤って設定された目標、整合しない前提に基づき、高速かつ大規模に動作する可能性があります。そのため、誤りが広がる前に人手で検知することが難しくなります。国家安全保障における AI の利用では、意思決定に機密性が伴う場合があり、重大な結果を招く可能性もあるため、監督が特に重要です。
OpenAI は、国家安全保障原則に基づき、特に重大な影響を伴う状況において、安全策、実質的な人間の判断、適切な監督を確保しながら国家安全保障分野への導入に取り組みます。また、この原則では、監督を担う機関が、高速かつ大規模な AI 利用を監督する能力を構築できるよう支援することも重視しています。
政府機関には、国家安全保障活動を監督するための権限と責任がすでに定められています。AI がそうした活動に関与するようになれば、監督のあり方も進化させる必要があります。従来の監督には多大な人手がかかります。紙を前提とした時代の手法を使う少人数のチームが、機械の速度で稼働するシステムを審査することは、ほぼ不可能です。
OpenAI は、システムの能力が高まるほど強力な監督が必要になると考え、この原則を自らにも適用しています。OpenAI の Preparedness Framework に基づき、高度なモデルは、能力を把握し、安全策が十分かどうかを判断するため、導入前に厳格な審査を受けます。導入後も継続的な監視とインシデント審査を通じて検証を続け、得られた知見を安全策の強化と今後のモデル開発に反映します。
OpenAI が政府を監督する役割を担うことはなく、担うべきでもありません。その責任は、選挙で選ばれた公職者と、その目的のために設置された公的機関にあります。OpenAI にできるのは、監督機関が既存の権限を遂行する際に、技術面から支援することです。
この取り組みは、次の 3 つの原則に沿って進めます。
第一に、AI は人間と組織の判断に取って代わるのではなく、それを強化するものであるべきです。政府の行為が合法かつ適切で、適用される規則や方針に沿っているかどうかを判断するのは、権限を与えられた機関と、法に基づいて設置された監督機関です。
第二に、政府による AI 利用は追跡可能で、権限を持つ監督機関が理解できるものであるべきです。審査担当者は、機密情報、個人情報、セキュリティ上重要な情報を保護しつつ、AI が意思決定にどう寄与したかを把握できる必要があります。
第三に、AI は民主的な監督機関の能力強化に活用されるべきです。 政府による AI 利用を人手だけで監督する方法には、拡張性がありません。国家安全保障をはじめ、重大な影響を伴う政府業務で AI の導入が進むなか、監督機関もその権限に従い、責任ある理解可能な方法で AI を活用すべきです。
今後 1 年間で、次の方法によりこの取り組みを推進する予定です。
権限を持つ政府関係者と協力し、AI ツールや技術支援によって監督の実効性を高められる具体的な機会を特定します。
民主国家の政府監督機関に対し、AI ツールの責任ある導入と評価を支援するため、研修、技術支援、OpenAI クレジットを総額 500 万ドル分提供します。
監督機関と協力し、権限を持つ審査担当者が、関連する入力、出力、ツール利用など、AI が支援した政府の意思決定に関する記録を調査し、AI が結果に与えた影響をより深く把握できるツールを試験運用します。可能な場合、ツールには相互運用性を持たせ、特定のモデルに依存しない設計とします。証拠、出力、調査結果の管理権は OpenAI ではなく参加機関が保持し、それらを閲覧できるのは権限を持つ政府関係者に限られます。
市民社会や技術専門家と連携し、その見解を、OpenAI によるツール開発と、それに伴う責任への取り組み方に反映します。
AI は権力を集中させる可能性がある一方、民主的な機関が権力をより効果的に行使し、抑制するための力にもなり得ます。どちらの未来を迎えるかは、技術だけで決まるのではなく、人間の組織や企業が今どのような選択をするかで決まります。
この取り組みの進展は、権限を持つ審査担当者が責務をより適切に果たせるようになったか、また政府の AI システムが意図どおりに利用されていると国民が信頼できる根拠が強まったかによって評価します。
政府による AI 利用が進化するなか、OpenAI はその監督を担う機関への支援を継続します。


