OpenAI の公共政策に関する方針
OpenAI の使命は、汎用人工知能(AGI)が全人類に利益をもたらすようにすることです。OpenAI の取り組みは、AI の構築方法と公共政策への関与のあり方を形づくる、5 つの中核的な原則に基づいています。
- 民主化OpenAI は、この技術によって権力が一部の人に集中することがないよう取り組みます。
- エンパワーメントOpenAI は、AI がすべての人の力となり、一人ひとりが目標を達成し、より深く学び、より幸せで充実した生活を送り、夢を追求できるよう支援すると考えています。そして、それが社会全体の利益にもつながると考えています。
- すべての人の繁栄OpenAI は、誰もが豊かな人生を送れる未来を目指しています。
- レジリエンスAI は新たなリスクをもたらします。OpenAI は、他社、関係機関、政府、社会と協力して、それらのリスクに対処していきます。
- 適応力OpenAI は、極めて予測困難な未来の課題に対応するには、新たな知見を得るたびに自らの立場を見直す用意が必要だと、引き続き考えています。
OpenAI は、AI には人々の働き方、学び方、創造のあり方、社会への参加の仕方を変える可能性があると考えています。また、民主主義社会は、機会へのアクセスを広げ、リスクを軽減し、人々が望む AI の未来を主体的に形づくれるようにするうえで、重要な役割を果たすと考えています。だからこそ、OpenAI は、自社のテクノロジーを誰もが自由に、かつ安全に利用できるようにすることに取り組んでいます。
OpenAI のユーザー層には、こうした取り組みが反映されています。OpenAI のツールを利用する女性は男性と同程度に多く、30歳未満と30歳以上のどちらの層でも、他のどの AI プラットフォームより多くのユーザーに利用されています。また、年収100,000ドル未満のユーザーは、年収100,000ドル以上のユーザーより多く、世界の労働人口全体に近い構成となっています。
そのため、OpenAI は世界中の政府や市民社会と連携しています。これは、政策立案者が OpenAI の技術とその影響を理解できるよう支援し、政府の機能や市民への価値提供を改善し、人々が民主的制度に参加してその恩恵を受けやすくするためです。また、AGI が全人類に利益をもたらすようにするという OpenAI の使命を前進させる政策を形づくることも目的としています。
以下の優先事項は、OpenAI の使命と原則を公共政策にどのように反映させているかを示しています。OpenAI は、AI がもたらす機会と課題に政府や社会が対応し、リスクを軽減し、機会へのアクセスを広げ、人々が AI 経済に有意義な形で参加し、その恩恵を受けられるようにする政策を支持しています。これらの優先事項は全体として、AGI が全人類に利益をもたらすようにするという OpenAI の使命を推進しながら、政府が市民によりよく応えられるよう支援することを目的としています。これらは、OpenAI が現在最も積極的に取り組んでいる分野の一部を示すものであり、すべてを網羅したリストではありません。AI の進化に伴い、OpenAI の政策上の優先事項や取り組み分野も、今後変化し続けると考えています。
OpenAI は、フロンティア AI の安全性は、国家安全保障および公共の安全に関わる問題だと考えています。特に、最も高度な汎用 AI モデルは、サイバー攻撃や化学兵器、生物兵器、放射線兵器、核兵器(CBRN)に関連するリスクを生み出す可能性があります。米国では、OpenAI は共通の枠組みに沿った州レベルの取り組みを支持しています。たとえば、カリフォルニア州 SB 53(新しいウィンドウで開く)、ニューヨーク RAISE Act(新しいウィンドウで開く)、イリノイ州 SB 315(新しいウィンドウで開く)などは、透明性、公開リスク評価、安全性インシデントに関する公的報告、公益通報者の保護、そして安全性とセキュリティに関する責任を果たさない開発者の責任を実効的に問える仕組みを重視しています。こうした州レベルのアプローチは、規制の分断を抑え、将来的な連邦レベルの枠組みにつながる、調和の取れた基準の確立に役立ちます。
OpenAI はまた、州レベルのフロンティア AI の安全性に関する州法に見られる新たな合意形成を踏まえ、包括的な連邦レベルの枠組みを確立するための連邦議会による取り組みを支持しています。この枠組みは、フロンティア AI の安全性を担う米国連邦政府の主要機関である AI 標準・イノベーションセンター(Center for AI Standards and Innovation、CAISI)を強化し、フロンティア AI がもたらす国家安全保障および公共の安全上の課題に対処するため、政府全体でより広範なレジリエンス計画を策定・実行するものです。この枠組みでは、CAISI に対して、最も能力の高いフロンティアモデルの評価を実施すること、独立した評価体制を構築すること、そして AI が自らの能力を継続的に改善していく再帰的自己改善(RSI)に向けた進展の監視を優先することを求めるべきだと、OpenAI は考えます。包括的な連邦レベルの枠組みが整備されれば、OpenAI は、同じフロンティア安全リスクを規制しようとする州法について、連邦法を優先して適用することを支持します。
OpenAI はまた、米国連邦政府が共通の国際基準の策定において主導的な役割を果たすことを支持しています。OpenAI は、EU AI 法の行動規範に署名した最初の米国企業でもあります。OpenAI はまた、米国の CAISI および英国の AI Security Institute(UK AISI)の双方と自主的な協定を締結した最初の企業の一つでもあります。
将来を見据え、OpenAI は、政策立案者がより踏み込んだ構想(新しいウィンドウで開く)の検討を始めるべきだと考えています。たとえば、モデル封じ込めに関する手順書やインシデント報告の整備、フロンティア AI のリスク、安全対策、セキュリティインシデントに関する調整を促進する国際的なガバナンス機関の設置などが考えられます。
特にサイバーセキュリティ(新しいウィンドウで開く)に関しては、OpenAI は、AI を活用した信頼性の高いサイバー防御ツールへのアクセスを拡大する政策を支持しています。また、評価の実施、情報共有の強化、サイバー防御を強化するためのレジリエンス対策の構築に向けて、政府、研究者、産業界の連携を深める政策も支持しています。OpenAI はまた、老朽化した公共部門のサイバーセキュリティシステムを近代化する取り組みも支持しており、米国の連邦政府、州政府、地方自治体に加え、国際的なパートナーとも連携しています。
OpenAI は、AI が若者の学びや創造を支援し、これからの経済で活躍するために必要なスキルや起業家精神を育む助けになると考えています。ただし、それは強固なセーフガードと年齢に応じた保護措置を備えて導入される場合に限られます。10代の若者が、家庭や学校で、また就業に向けた準備を進める中で、安全で信頼できるAI(新しいウィンドウで開く)をを利用できるようにすべきです。同時に、AI がもたらし得る潜在的な害から保護される必要があります。OpenAI は、10代の若者の安全を守るため、強力で実効性があり、リスクに基づく規制を支持しています。また、堅牢な保護措置に加え、透明性と、家庭が管理できるツールを組み合わせた枠組みも支持しています。
こうした枠組みには、企業がユーザーが未成年者かどうかを確認し、年齢に応じた保護措置を適用できるようにする、プライバシーを保護する形での年齢確認の要件が含まれます。また、予見可能なリスクを特定し、被害が発生する前に適切な保護措置を講じるための定期的な青少年安全リスク評価、保護者が10代の利用体験を見守り、支援できる使いやすいペアレンタルコントロール、導入されている保護措置とその経時的な変化を説明する明確な青少年安全公開ポリシーも含まれます。
また、AI システムとのやり取りの中で10代の若者が直面し得るリスクに対処するための保護措置も設ける必要があります。具体的には、有害または年齢にふさわしくないコンテンツからの保護、重大な安全上の事態に対応するための明確な手順、操作的または欺瞞的なやり取りを防ぐための仕組みなどです。危機対応手順には、サービス内でのサポート、米国の988など適切な外部支援窓口への案内、必要に応じた適時の保護者への通知を含める必要があります。OpenAI は、未成年者へのターゲティング広告や個人データの販売を制限することなどにより、企業に対して10代の若者の個人情報の保護も義務付けるべきだと考えています。
さらに、これらの保護措置が実務上も実効性のあるものとなることを確保するには、独立した監査を含む、説明責任を担保する強固な仕組みが不可欠です。OpenAI は、このような監査においては、法域を越えて比較・連携できるよう、一連の共通基準を基盤とすべきだと考えます。OpenAI は、立法上の枠組みには、企業が青少年の安全のための保護措置を効果的に導入・運用し、特定されたリスクを軽減し、青少年の安全とプライバシーに関する義務を遵守しているかを政府が評価できるよう、監督・執行措置が必要だと考えています。OpenAI は、こうした原則を推進し、若者が AI から学び、その恩恵を受けられるようにしながら若者を保護する実践的な AI セーフガードを前進させる、Parents and Kids Safe AI Coalition(新しいウィンドウで開く) の取り組みを支援しています。
OpenAI はさらに、児童の性的虐待および性的搾取に対する強力な法的・技術的保護措置を支持しています。こうした保護措置には、生成 AI が合成 CSAM の作成、既存画像のデジタル改変、グルーミングや搾取活動の大規模化に悪用されるリスクに対応するため、児童保護に関する法制度を近代化することが含まれます。政策立案者は、CSAM に関する法令が AI 生成またはデジタル加工された素材を明確に対象に含めるようにすべきだと、OpenAI は考えます。また、CSAM を意図的に作成または入手しようとする行為に対する責任を明確化するとともに、検察官および法執行機関の強力な執行権限を維持する必要があります。OpenAI はまた、CyberTipline への報告の質を高め、実際の対応に役立つものにするとともに、捜査上の負担を軽減し、NCMEC および法執行機関がより迅速に対応できるようにする、プロバイダー向けの報告・連携基準も支持しています。さらに企業は、被害が発生する前に悪用の試みを阻止するため、検知、拒否メカニズム、人による監督、継続的な監視など、設計段階から安全性を組み込むセーフガードを導入する必要があります。
AI は今後、人々の学び方、働き方、市民生活への参加のあり方に、ますます大きな影響を与えるようになります。教育機関は、AI リテラシー(新しいウィンドウで開く)を育み、AI が広く使われる世界に学生が対応できるよう備えるうえで、重要な役割を果たします。OpenAI は、学生・生徒、教員、家庭、地域社会が AI と安全に、批判的かつ創造的に関われるよう支援する政策を支持しています。同時に、教育者が教室での意思決定の中心であり続け、学校における AI 導入の進め方を主導できるようにすることを重視しています。こうした政策には、AI リテラシーへの投資や、歴史、公民、数学、科学、文学、コンピューターサイエンス、職業技術教育などの科目における、しっかりとした基礎教育が含まれます。また、教員研修や専門的な学びのための時間の確保、労働市場のニーズに沿った学習経路、学校、図書館、地域機関向けの AI ツール、ブロードバンド、端末、教育リソースへのアクセス拡大も重要です。OpenAI はまた、AI が学習成果、学生の心身の健やかさ、教育の公平性にどのような影響を及ぼすかに関する研究を強化する取り組みと、そこで得られた知見を AI の開発と導入に組み込む取り組みも支持しています。
OpenAI は、誰もが AI が生み出す新たな機会(新しいウィンドウで開く)を活用できるべきだと考えています。そのため、ChatGPT を無料で提供しています。OpenAI は、役立つ AI を手頃な価格で利用できる機会を広げ、人材育成と AI リテラシーへの投資を通じて、労働者、起業家、教育関係者、中小企業による AI 導入を支援する政策を支持しています。OpenAI はまた、雇用主、労働団体、コミュニティカレッジ、大学、労働力開発委員会、地域企業をつなぐ地域 AI ハブの創設も支持しています。さらに、AI ツール、技術サポート、実践的なトレーニングへのアクセスを提供する、中小企業向けの導入支援プログラムも支持しています。
OpenAI はまた、労働団体と連携(新しいウィンドウで開く)し、労働者が実践的な AI スキルを身につけ、より高性能な AI システムによる経済の変化に備えられるよう、研修を受ける機会の拡大に取り組んでいます。さらに、労働者や雇用主が OpenAI のツールをどのように利用しているかに関するデータを定期的に公開しています。OpenAI は、こうした労働力の透明性を高める取り組みも支持しています。これは、政策立案者や一般の人々が、AI によって仕事がどのように変化しているかを理解するだけでなく、労働者が新たな職務や人間中心の仕事へ移行するための道筋を見極めるうえでも役立ちます。同時に OpenAI は、政策立案者と協力し、より意欲的な労働市場と経済の移行に向けた方針(新しいウィンドウで開く)の策定と実施に向けて取り組んでいます。この方針では、働き方が変わっても継続して利用できる福利厚生、税制の近代化、公的な資産基金、変化に適応できるセーフティネットなどを視野に入れています。
OpenAI は、AI が創造的な表現を広げ、アーティストやクリエイターを後押しし、新しい形の表現、批評、創作上の変化を可能にすると考えています。また、独立系クリエイター、小規模スタジオ、新たな表現者が創作活動をめぐる経済に参加するための障壁を下げることもできると考えています。同時に、人々がデジタルコンテンツの出所を理解できるようにし、欺瞞的ななりすましや無許可のデジタル複製など、有害なディープフェイクから保護されるようにする必要があります。OpenAI は、オンライン上の透明性を促進する政策を支持しています。これには、Coalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)が策定したものなど、AI ツールに対し、生成する音声・視覚コンテンツに出所を示す情報を含めることを求める要件が含まれます。また、デジタルコンテンツの出所を人々がより理解しやすくするため、業界全体のパートナーと協力し、相互運用可能な出所表示の標準やコンテンツ真正性ツールを推進しています。OpenAI は、表現の自由、パロディ、報道、その他の適法な利用に対する重要な保護措置を維持しながら、声や肖像が有害な形で悪用されることを防ぐ政策を支持しています。
OpenAI は、画像を悪用した性的虐待に対する強力な保護措置を支持しています。これには、本人の同意なく作成された合成の私的・性的画像の配布を犯罪化する取り組みや、被害者の救済措置を強化する取り組みが含まれます。OpenAI はまた、欺瞞的な AI 生成政治コンテンツに関連して、選挙の公正性を守るための保護措置も支持しています。これには、有権者を誤解させる目的で AI 生成コンテンツを意図的に配信することの禁止や、特定の AI 生成政治広告や選挙運動に関する発信に対する開示要件が含まれます。OpenAI は、信頼できる選挙管理当局と連携し、投票や選挙に関する正確な情報を提供するとともに、OpenAI のシステムが候補者を不当に推奨したり順位付けしたりすることを防ぐよう取り組んでいます。
OpenAI は、AI インフラが地域社会とのパートナーシップのもとで開発されれば、地域、州、国全体の経済成長を促す原動力になると考えています。地域コミュニティとの連携は、地域のニーズを理解することから始まります。そのため、Stargate の各サイトには、地域社会との協議を通じて策定された、サイト設計やエネルギー源を含む、各地域に合わせたコミュニティ計画があります。OpenAI が、水、電力、政府との合意に関する透明性を求める方針を支持しているのも同じ理由からです。ただし、セキュリティ、商業上の機微情報、営業秘密、専有情報を保護するための適切な例外は必要だと考えています。
OpenAI は、自社の事業運営によって電気料金の上昇を招くことがないよう、エネルギーに関して自らの負担を果たすことに取り組んでいます。 また OpenAI は、企業が運営するデータセンターが、電力コストを公正に負担するよう求める政策も支持しています。これには、州の公益事業委員会に対し、データセンターによって発生する追加コストを運営企業に負担させる、大口需要家向け料金制度の創設を求める要件などが含まれます。OpenAI は、データセンターが電力網の信頼性向上に貢献できるよう、地域の電力会社や規制当局と協力しています。OpenAI はまた、低排出型のバックアップ発電機や閉ループ式または低水使用型の冷却システムなど、環境への影響を低減する技術や取り組みについて開示を求めるサステナビリティ報告要件も支持しています。OpenAI は、地域の労働者が賃金の高い建設関連の仕事に就けるよう支援する政策を支持しています。これには、公的に認定された見習い制度の活用や、プロジェクト労働協約の締結を促す奨励策が含まれます。また OpenAI は、特定の業界に偏らず、予見可能な税制および奨励制度を維持する政策を支持しています。こうした政策は、企業が自らの約束を果たすよう責任を持たせ、周辺地域社会におけるイノベーション、起業家精神、長期的な経済成長を促進するものです。


