MIXI は、ChatGPT とともに新たなコミュニケーションを描く
MIXI がどのようにして ChatGPT Enterprise をわずか1.5ヶ月で全社導入したのかをご紹介します。

MIXI は、日本の SNS 黎明期を牽引した企業として知られ、現在は主にライフスタイル・デジタルエンターテインメント・スポーツと多岐にわたる領域でコミュニケーション事業を展開しています。スマホゲーム「モンスターストライク」や子どもの写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」など、国内外で人気のサービスを生み出してきました。
こうした実績を持つ MIXI は生成 AI の可能性にいち早く着目し、国内企業に先駆けて ChatGPT Enterprise を全社導入しました。OpenAI と協力しながらわずか1.5ヶ月という短期間で実装。その後の全社員への展開がスピーディーに進み、多くのユースケースが社内に生まれ、部署のプロジェクトによっては90%以上の業務時間の削減も実現しています。
「効率が良くなった結果、余裕を持てる時間が増えて、新しいアイデアに時間が使える。その中でまた AI を使ってアイデアを加速させていく」

MIXIは「豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」を企業のパーパスとし、コミュニケーションを軸としたサービスを展開しています。ユーザーが驚くようなサービスを作り、豊かなコミュニケーションを醸成するためには、新たな挑戦やアイデアの創出が必要です。
そこで MIXI は会社としていち早く生成 AI に注目し、希望する従業員に ChatGPT Plus の利用補助を行い、1,000人以上がアイデアの創出に活用していました。しかし、ChatGPT Plus の企業での利用にあたっては、「AI の学習についての設定」や「社内情報の扱いに関するルール整備」といった壁が立ちはだかります。取締役の村瀬龍馬氏は次のように振り返ります。「社員が入力した情報を安全かつ的確に業務やプロジェクトに使えるようにするには、一人ずつアカウント設定をする必要がありました。また、社内でデータをどのように扱うかのルールもはっきりしていませんでした。そのため、社員全員が安心して AI を十分に活用できるような環境づくりが重要だと強く感じました」
ChatGPT Enterprise への一括移行により、セキュリティを担保したままノウハウやカスタム GPT を社内で共有できる体制を実現。さらに、社員は迷いなく社内情報を扱い、仕事を加速できるようになりました。
1.5 ヶ月という短期導入を可能にしたのは、OpenAI のサポートがあったからでした。開発本部 DX 推進グループの金沢広峰氏は語ります。「社内の各部署から導入に際して技術的課題や運用的な懸念点が上がったのですが、OpenAI のこれまでの知見から対応策を提案いただき解決することができました」MIXI は全社導入後の社内への ChatGPT Enterprise の展開と OpenAI API の利活用に際しても、OpenAI と二人三脚で様々な企画を実施しました。
OpenAI チームは、主に以下の内容で MIXI の従業員を支援しました。
- ChatGPT 101トレーニング:全社員向けに ChatGPT を実際の業務で利活用するためのベストプラクティスを紹介
- 新卒向けワークショップ:2025年4月に入社した新卒社員を対象に生成 AI に慣れ親しむためのワークショップを開催
- OpenAI ハッカソン:開発者を対象に OpenAI Agents SDK を活用したプロダクト開発のハッカソンを実施

これらの OpenAI からの支援によって、MIXI の多くの従業員が素早く ChatGPT や OpenAI 製品に慣れ親しむことができ、様々な部署で核となるGPTのユースケースが誕生しました。
「家族アルバム みてね」(以下、「みてね」)は子どもの写真や動画を共有するアプリで、7言語、175の国と地域で2,500万人以上のユーザーを抱える MIXI の人気サービスのひとつです。アプリを通して、世界中の家族間で新たなコミュニケーションが生まれています。
「みてね」では、ChatGPT Enterprise を活用して、マーケティングやデザイン、UXリサーチなど様々な分野で業務効率化を実現しています。特に広告クリエイティブ企画での活用が進んでいると、みてね事業本部部長の平田将久氏は語ります。「広告クリエイティブ企画では GPT を使って、ブランド理解や AB テストの設計を行い、月間で約28時間の工数削減を実現しました。チームで使えるカスタムGPTを作り、プロンプトを試しながら協力して発展させていく文化が生まれています」
- 文言チェッカー GPT:コピーライティングにおいて「みてね」らしい言葉遣いや表現をレビューするための GPT です。例えば、「最強」という単語は「みてね」らしくないため、GPT がブランドバリューに合った表現を提案してくれます。
- Creative Planning GPT:非ネイティブ話者がグローバルを対象とした広告を計画する際に、「みてね」のブランドバリューやユーザー属性を踏まえて、指定した言語でマーケティングコピーを生成します。
「これまで AI は業務効率化に大きな貢献をしてきましたが、私たちはその先を見据えています。これからは AI をチームの中のパートナーからプロダクトの一部へと進化させていきたいと考えています。世界中の家族へよりパーソナルで温かく直感的な体験を届けるために、AI の技術と『みてね』の想いを組み合わせることで、家族のつながりをもっと豊かにできると信じています」と平田氏は、将来の構想を語ります。
MIXI の投資部門では、スタートアップ投資やファンド出資を行なっており、これまでに70以上のファンドの出資を行い、間接投資先を含めると3,000社以上を企業ポートフォリオとして抱えています。
投資部門では ChatGPT Enteprise を使用して、企業の情報を効率的に管理していると、コーポレートデベロップメント本部本部長の荒木豪司氏は説明します。「膨大な投資先すべてを人力でモニタリングするのは、もはや限界であり AI の力が不可欠でした。現在は ChatGPT を活用して、投資検討やモニタリングを行い、リスク評価や新たな価値創出に役立てています」
投資部門では、VC ファンドへの出資を検討する際に活用できる「VCファンド初期検討サポートくん」という GPT を開発し、VCファンド側から提供される提案資料を構造的に整理し、初期検討の時間削減と品質の向上を実現しています。従来は1件あたり1〜2時間必要だった投資の検討業務が、このGPTのおかげで5~10分へと短縮され、どの従業員でも同じ質の結果を出せるようになりました。また、部門全体では ChatGPT Enterprise を活用することで、70%以上の業務量を削減した事例も複数生み出されています。
荒木氏は、この削減された時間を使用し、「人間にしかできない、人と人とのコミュニケーションに多くの時間を割くことができています」と語っています。
MIXI が ChatGPT Enterprise を全社導入してから、3ヶ月未満で週に1回以上利用するアクティブユーザーの割合が 80% を超え、1,600個以上の GPT が作成されました。村瀬氏は「プロジェクトによっては90%以上の業務時間を削減しています」と劇的な効果に満足しています。また、多くの従業員が自分で手を動かし、業務に必要なソリューションを自分で作り上げ、他チームへの依存度が減ったと村瀬氏は説明します。「今まではエンジニアに開発をお願いしていたツールを、ChatGPT を使うことで、自分自身の手で作ることができるようになりました。まさに、社員全員がプログラマーになったような感覚です」
吉野氏も、「ChatGPT の全社導入で能力が広がった感覚である」と実感しており、今後も OpenAI の製品を活用し、新たなコミュニケーション体験を創出していきたいと語ります。「我々がミッションとして掲げる、心もつながる場と機会の創造に対して ChatGPT や OpenAI API をこれからもフル活用していきたいと考えています」



