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OpenAI

先進企業はなぜ先行しているのか

B2B Signals は、AI をより深く、より広く活用し、より多くの業務を AI に委ねている企業で、先進企業の優位性が広がり始めていることを示しています。

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TLDR

  • 先進企業(利用量が上位5%に入る企業)では現在、従業員1人あたりの AI 活用量が一般的な企業の3.5倍に達しており、1年前の約2倍から拡大しています。
  • この差を生んでいるのは、単なる利用量ではなく活用の深さです。メッセージ量が占めるのは、この差の36%にすぎません。差の大部分は、より高度で複雑な AI 活用によるものです。
  • エージェント型ワークフローは、先進企業を特徴づける指標になりつつあります。特に高度なツールで差が大きく、先進企業では一般的な企業と比べて、従業員1人あたりの Codex 利用量が16倍に達しています。
  • 組織は、先進的な活用へと近づくことができます。先進企業は、活用の深さを測定し、本番利用に対応したガバナンスを構築し、活用を支える体制に投資しています。また、効果のある取り組みを拡大し、チャットによる支援から、エージェントに業務を委任する形へと移行しています。

多くの企業にとって、AI 導入の初期段階は「利用できる環境を整えること」が中心でした。誰が AI ツールを使えるのか、どれだけ導入されているのか、従業員が試験的に利用しているのか、といった点です。それ自体は今も重要です。しかし、もはや利用環境の整備だけでは差別化につながりません。

最新の調査では、先進企業の優位性が広がり始めていることが示されています。先進企業が先行しているのは、従業員1人あたりの AI 活用量が多く、高度なツールを積極的に導入し、AI をワークフローに深く組み込んでいるためです。

本日、OpenAI Signals のビジネス向け拡張版である B2B Signals を発表します。B2B Signals は、OpenAI 製品の企業利用から得られた、プライバシーに配慮した集計データをもとに、AI が企業全体にどのように広がっているかを継続的に把握するための指標です。以下の観点を含みます。

  • 企業内で AI がどの程度深く活用されているか
  • どのツールやタスクが先進的な導入と特に関連しているか
  • ビジネスユースケースが、業界・製品・業務領域をまたいでどのように広がっているか

注:本レポートのすべての分析は、匿名化された企業利用の集計データに基づいています。メッセージ内容は自動システムで分類されており、この分析の一環として OpenAI の従業員が Enterprise、Business、API の顧客の個別データを確認することはありませんでした。

先進企業の優位性が広がり始めている

最も明確なシグナルは「活用の深さ」です。先進企業では現在、従業員1人あたりの AI 活用量が一般的な企業の3.5倍に達しており、2025年4月の2倍から伸びています。この差のうち、メッセージ量が占めるのは36%にすぎません。差の大部分は、より深い活用によるものです。先進企業の従業員は、AI により複雑な業務を任せ、より詳しいコンテキストを提供し、より実質的なアウトプットを生み出しています。

本レポートでは、求められる AI 活用量の代替指標として、生成されたトークン数を使用しています。トークンはビジネス価値を直接測る指標ではありません。ただし、従業員が AI にどれだけの作業を任せているかを測る手がかりとなるため、AI 活用の深さを示す有用な代替指標になります。

簡単に言えば、一般的な企業は AI を質問への回答に使っています。一方、先進企業は複雑な業務の遂行を支援するために AI を活用しています。単にメッセージの数が多いだけではありません。1回ごとのやり取りで、実際の業務をより多く担わせているのです。

これらの指標を総合すると、先進企業はより複雑で難度の高い業務に AI を活用していることが分かります。リーダーが問うべきポイントは、AI を使える人数や利用頻度から、AI がどのワークフローに深く入り込み、チームの働き方をどう変えているのかへと移りつつあります。

エージェント型ワークフローが、次の成熟度指標に

先進企業は、業務の委任へと進みつつあります。

高度なツールやエージェント型ツールで、先進企業と一般的な企業の差が最も大きくなっています。Codex では最も大きな差が見られ、先進企業の従業員1人あたりの利用量は、一般的な企業の16倍に達しています。ChatGPT エージェント、Apps in ChatGPT、Deep Research、GPT はいずれも同様の傾向を示しており、先進企業は、コーディングや複数ステップの業務の委任、企業コンテキストの活用、より高度な調査を支援するツールの導入に優れていることが分かります。

AI システムがツールの活用やファイル・コードベースをまたいだ作業、長時間にわたるタスクの実行に対応できるようになるにつれて、企業は実質的な業務を AI エージェントに委ねる形へと適応していく必要があります。

先行する企業は、AI を単なる効率化の手段ではなく、業務そのものを根本から見直すための手段として活用できる運用力を高めています。

Cisco は、大規模なエンタープライズ開発組織全体で、複雑なソフトウェア開発業務の効率化に Codex を活用しています。本番環境のワークフローでは、Codex によりビルド時間を約20%短縮し、月1,500時間以上のエンジニアリング工数を削減しています。また、不具合対応の処理量も10〜15倍に向上しています。Cisco のチームによると、Codex を「チームの一員」として扱ったときに、最も大きな効果が得られたといいます。

広がる AI 活用と進む専門化

AI は、ビジネス全体の本番ワークフローにも組み込まれつつあります。

企業は、アプリ内アシスタント、コーディングや開発者向けツール、カスタマーサポートなどの領域で API の活用を進めています。これらは、AI がプロダクトやサービス、社内システムの一部として組み込まれる領域です。

AI は文章作成やコミュニケーションで最も広く使われていますが、部門ごとの専門的な活用も広がっています。IT・セキュリティ部門では手順やハウツーに関する利用が多く、ソフトウェア開発やデータサイエンス部門ではコーディング用途が中心となっています。また、財務部門では分析や計算に AI が活用されています。この傾向から、AI は単なる生産性向上の枠を超え、各部門の中核業務により深く関わる形へと広がっていることが分かります。

AI 導入に単一の優劣はありません。ChatGPT の広範な導入で先行する業界もあれば、Codex の利用や API 活用、利用量の面で先行する業界もあります。つまり、組織には複数の取り組み方があります。利用環境を広げる、活用を深める、エージェント型ツールを導入する、あるいは AI を製品やシステムに直接組み込むといった方法です。

Travelers Insurance の事例は、こうした活用を実際に示しています。OpenAI を活用して構築された同社の AI 保険請求アシスタントは、事故発生時の初期対応を案内し、保険内容に関する質問に回答し、請求に必要な情報を収集したうえで、Travelers のシステム内でそのまま請求手続きを進めることができます。Travelers は、このアシスタントが初年度に約10万件の初期対応を担うと見込んでいます。

AI 活用で先行する企業の共通点

先進企業と一般的な企業の差は、固定的なものではありません。多くの組織は、利用環境の整備から、より深く業務に統合された AI 活用へ移行する途上にあります。先進企業の取り組みは、どのような実践が長期的な成長につながるのかを示しています。

特に顕著なのが教育や学習の分野で、タスクレベルでの差が最も大きくなっています。先進企業は、業務の効率化にとどまらず、従業員が AI を使いこなすためのスキルや習慣、そして自信を育むためにも AI を活用しています。

組織は、活用の深さを把握し、本番運用に対応したガバナンスを整え、活用を支える体制を強化しながら、先進的な取り組みを全社に広げていくことで、より高度な活用へと進むことができます。また、チャット中心の利用から、エージェントに業務を委ねる形へと移行していきます。

B2B Signals:企業における AI 活用を継続的に読み解く

エンタープライズ AI は急速に進化しており、AI 導入をどのようにビジネス価値へと結びつけるかを見極めるための指標が、これまで以上に重要になっています。

B2B Signals は、先進企業の取り組みや傾向を捉え、AI 活用がどのようにビジネス価値へとつながっているのかをより明確に示します。 

初回リリースでは、活用の深さ、エージェント型ワークフロー、そして業界や業務領域を横断して見られる新たな傾向に焦点を当てています。今後は、これらの指標の進捗を継続的に追いながら、エンタープライズ AI の進化に応じて内容を更新していきます。

著者

OpenAI