HSP GRUPPE による税務顧問向け AI 能力の構築
税務専門家が ChatGPT Enterprise で情報処理を迅速化し、業務品質を高め、助言業務と顧客サービスの余力を創出しています。

98.6%
の従業員が生産性向上を実感
84%
週間アクティブ利用率
500,000+
6 か月間の ChatGPT での会話数(2026 年 2 月 1 日~7 月 14 日)
40,000+
事務所ネットワーク全体で創出が見込まれる年間の追加稼働時間
本事例の利用状況は、HSP GRUPPE と Kanzleipakt が共同利用する ChatGPT Enterprise ワークスペースの数値で、81 の組織グループを対象としています。HSP GRUPPE 自体は、法的に独立した税務顧問事務所、監査法人、法律事務所のネットワークです。
HSP GRUPPE(新しいウィンドウで開く) は 20 年以上にわたり、専門事務所の業務プロセスのデジタル化と標準化に継続的に投資してきました。生成 AI が登場するはるか以前から、同事務所ネットワークはプロセスを標準化し、品質管理を組み込み、ネットワーク全体で継続的に改善する文化を育んできました。
ChatGPT が登場したとき、HSP は単なる生産性向上ツール以上の可能性を見いだしました。専門業務そのものの進化を見直す機会だと捉えたのです。
経営陣が考えたのは、AI でメールを速く書いたり文書を要約したりする方法ではなく、より大きな問いでした。AI が専門サービス事務所の運営モデルの一部になると、何が起きるのかという問いです。
この構想に基づき、HSP は税務顧問、法務調査、顧客とのコミュニケーション、財務分析、ネットワーク全体の知識共有に ChatGPT Enterprise を組み込みました。
「テクノロジーは、組織が変革できる速度を上回る勢いで進歩しています。私たちの課題は AI の導入ではなく、組織に定着させることでした」
HSP は AI をソフトウェア導入ではなく、組織変革として捉えました。
組織への定着、ガバナンス、継続的な学習を重視して ChatGPT Enterprise を導入しました。毎月開催する AI フォーラムでは、従業員が実用的な活用事例を共有し、互いに学べる場を設けました。ChatGPT Enterprise のセキュリティ機能が重要な技術基盤となる一方、顧客関連情報の利用には、HSP の社内規定であるデータ保護、機密保持、ガバナンスの要件が適用されます。専門家による確認と最終責任は、常に担当の税務、法務、会計の専門家が担います。
目標は単に実験を促すことではありませんでした。規模を拡大できる組織能力を築くことでした。

Carsten Schulz 氏はこう語ります。「お気に入りの AI 機能は何かとよく聞かれます。私はその質問には答えません。個々の機能は重要ではないからです。すべてがどう連携するかを理解すれば、AI がまったく新しい世界への扉を開いてくれます」
ネットワーク内の専門家は、日々の業務に AI を活用する新たな方法をすぐに見いだしました。同時に、組織は成果を上げた活用事例をカスタムエージェントとして標準化し始めました。その一例が、初稿の作成や構成、明瞭さ、顧客本位で一貫した文体を支援する共有エージェントの AI Client Communication です。専門家による確認と最終責任は、担当の税務、法務、会計の専門家が担います。もう一つは Booking Assistant SKR03 & SKR04 で、特定の仕訳に関する質問の準備と分類を支援します。専門家としての最終判断は従業員が下します。こうした共有エージェントは、反復作業を減らすとともに、AI の専門家だけでなく、すべての従業員がベストプラクティスを利用できるようにします。
専門家はその基盤を各自の業務に活用しています。マネージングパートナーの Frank Heibel 氏は、複雑な税務上の問題を検討し、顧客とのコミュニケーションを磨くための専門的な壁打ち相手として ChatGPT を活用しています。「ChatGPT は本当の意味で壁打ち相手になりました。仕事で到達できるレベルが一変します」と Heibel 氏は語ります。
パートナーの Magdalene Posnak 氏は、複数の不動産投資の評価に要する時間を 9 時間から約 2 時間に短縮し、顧客への助言により多くの時間を充てられるようになりました。マネージングディレクターの Marco Sell 氏は AI 搭載ダッシュボードを使い、会議中に顧客と財務シナリオを検討しています。一方、弁護士兼税務顧問の Jan-Henrik Leifelt 氏は、専門的判断を置き換えるのではなく強化するために ChatGPT を活用しています。
共通するのは、情報の準備に費やす時間を減らし、専門知識の活用により多くの時間を充てるというシンプルな考え方です。
「複数の不動産投資の分析には、以前は 9 時間ほどかかっていました。ChatGPT なら約 2 時間で準備でき、浮いた時間を顧客への助言に充てられます」
HSP はすでに ChatGPT Work を活用し、AI 導入の次の段階に向けて準備を進めています。
利用開始からわずか数週間で、組織は少人数の開発者と管理者による試験運用を始め、より広いワークスペースへの展開に備えました。目標は、全社展開に先立ってガバナンス、品質、コストのバランスを取りながら、エージェント型 AI で複雑なワークフローを安全に自動化する方法を見極めることです。
HSP にとって、経済的なメリットは人員削減ではありません。ネットワーク内の各事務所はすでに稼働能力の上限に達し、多くの未処理業務を抱えています。そのため ChatGPT で削減した時間を、新たな顧客業務、納期短縮、助言能力の拡大、顧客サービスの向上に振り向けられます。
Schulz 氏にとって、機会とは既存の業務を速く終えられるよう支援するだけではありません。ワークフローそのものを再設計することです。
その例として、Schulz 氏は年次決算を挙げます。現在は、記帳が完了して数か月後に年次決算の作成を始めて、初めて情報の不足に気づくことが少なくありません。HSP は、ChatGPT Work で記帳内容を継続的に確認し、年間を通して不足情報を特定し、顧客に書類を先回りして依頼する方法を検討しています。これにより、会計担当者がファイルを開く前に準備の大半を終えられます。
AI が人を支援する段階から、プロセス全体の業務を統括する段階への移行は、HSP の変革における次のステージです。
「自動化できる機会を 88 件特定しました。しかし、それでも発想が小さすぎると思います。本当に問うべきは、現在のプロセスをどう自動化するかではありません。どう再設計するかです。それこそが、まったく新しい世界への扉を開くのです」
- 週間アクティブ利用率は 84% に達し、週間アクティブユーザーは 755 人、6 か月間(2026 年 2 月 1 日~7 月 14 日)のユニークユーザーは 913 人でした。
- 2026 年 2 月 1 日~7 月 14 日の評価期間中、ユーザーが ChatGPT と交わしたメッセージは 50 万件を超えました。
- 調査対象の従業員の 98.6% が生産性の向上を、84.6% が業務品質の向上を報告しました。
- 回答者の 95.9% が毎週の時間短縮を報告し、63.5% は週 2 時間以上、25.7% は週 5 時間以上を削減しました。HSP の年間キャパシティ計画には、すでに業務改善の先行指標が表れています。従業員が AI 支援業務によって生まれた追加余力を認識し、専門家が前年までより大幅に多くの業務を計画しているためです。組織は今年後半に、財務面への影響を総合的に評価する予定です。
- 79.7% が顧客サービスの向上を、78.1% が仕事への満足度向上を報告しました。
- 意図的に保守的な前提を置いた社内シナリオでは、年間約 4 万時間の追加余力を見込んでいます。約 2 万 8,000 時間を生産的で通常は請求可能な専門業務に、約 1 万 2,000 時間を管理、顧客サービス、サポートに充てられる見込みです。保守的な時間単価に基づき、HSP は理論上の年間売上高の可能性を約 380 万ユーロと試算しています。これはキャパシティの試算であり、実現済みまたは保証された売上ではありません。
- AI を個人用ツールではなく、組織能力として捉える成果を上げた実験を、誰もが恩恵を受けられる再現可能なワークフローへ拡大する
- まず運用基盤に投資する強固なプロセス、ガバナンス、品質管理体制が AI の導入を加速させる
- 継続的に学ぶ文化を築く定期的な AI フォーラムにより、優れたアイデアが組織全体へ速やかに広がった
- タスクだけでなく、ワークフローを再設計する最大の価値は、個別作業の自動化ではなく、エンドツーエンドのプロセスを見直すことで生まれる
- 専門的判断を軸に AI を構築するAI が専門知識を置き換えるのではなく強化するとき、最大の価値が生まれる
- AI の機能ではなく、ビジネス上の課題から始める
- チームを越えて成果を上げた活用事例を共有できる定期的な場を設ける
- AI の専門家と領域の専門家が連携し、成果を上げた実験を拡張可能なワークフローへ発展させる
- 新機能は少人数で試験運用してから組織全体へ展開する
- AI が真の価値を生む領域を把握するため、導入だけでなく定着度と事業への効果を測定する
HSP は、AI による最大の成果はこれからだと考えています。
HSP GRUPPE は Kanzleipakt と共同で、DATEV を中核とする AI、事務所プロセス、開発の合同チームを設立する計画です。各所で成果を上げた実験を評価し、文書化された拡張可能な標準ワークフローへ発展させます。ChatGPT Work とエージェント機能の成熟に伴い、HSP は個々の専門家の支援にとどまらず、従業員と顧客の双方を先回りして支援するワークフロー全体の自動化を目指しています。
Schulz 氏は、長期的な可能性は HSP の枠を超えると考えています。AI によって、信頼される専門家は判断、複雑な問題の解決、顧客との関係構築により多くの時間を充てられるようになり、その役割は弱まるどころか強化されると考えています。
「誰もが、AI が税務顧問に取って代わると話しています。しかし、それは議論の方向が間違っていると思います。本当の可能性は、有資格の専門家が飛躍的に力を発揮できるよう支援することです」


