OpenAI

2026年10月29日

クレディセゾン、ChatGPT Enterprise のパイロットテストでROI 954%を達成

クレディセゾンはなぜ、「ChatGPT Enterprise」を全社で定着させられたのか。鍵となったのは、パイロットテストでのROI 954%達成です。トップと現場が一体となって進める、AI変革の舞台裏に迫ります。

濃紺の紙が曲線状に重なる背景に、白い Credit Saison のロゴ。
従業員数: エンタープライズ
地域: アジア太平洋とオセアニア
業種: 財務
製品: ChatGPT

954 %

パイロットテストでの投資収益率(ROI)

14 時間

パイロットテスト参加者 1 人あたりの月間削減業務時間

1ヶ月

パイロットテスト終了から全社導入の意思決定に至るまでの期間

850 時間

エンジニア部門の Codex 活用で削減された月平均業務時間

読み込んでいます...

クレディセゾンは、約 3,116 万人の会員を持つクレジットカード事業を中心に、ファイナンスやグローバル事業などを手掛けています。

同社は 2025 年 9 月、ChatGPT Enterprise を全社員に一斉導入。パイロットテストで目標を上回る業務時間の削減効果が得られたことが後押しとなり、テスト終了から1ヶ月で全社導入を決定し、全社員が業務でAIを活用できる環境を整えました。 どのように、AIの活用を現場に広げてきたのでしょうか。そのスタートとなったパイロットテストから、ひもといていきます。

ROI 954 %を達成した全社横断のパイロットテスト

総合職が中心のクレディセゾンで、生成 AI をどのように業務に生かし、成果に繋げられるのか。取締役兼専務執行役員CDO兼 CTO の小野和俊氏が出した方針は、「本気で使い倒してみないとわからない」というものでした。

そこで同社は、2025年6月末から8月上旬までの1ヶ月強、OpenAI と連携し、315名を対象に ChatGPT Enterprise のパイロットテストを実施しました。参加者は、希望者と事務局による指名者に、社長を含む全役員、全部門からのメンバーを加えた構成で、国内社員約3,700名の10%弱に当たる規模です。

掲げた目標は、ROI 500%と1人あたり月7.5時間の業務時間削減。結果はそれを大きく上回り、ROI 954 %、1人あたり月14時間、年間換算で約169時間の削減となりました。

事後アンケートでは、管理職の75%、一般社員の70%が「手放せない」と回答。法務部門の約80%が「仕事上の能力向上」、システム部門の80%以上が「仕事の満足度向上」を実感するなど、業務時間の削減に加え、能力や仕事の満足度の向上を実感する声も寄せられました。

現場とトップで耕す AI 活用の土壌

パイロットテストの手応えは、仕組みと人の両面から生み出されました。AI 活用推進の中核を担う推進事務局(CoE)は、Slack の専用チャンネルで、成功事例も失敗事例もオープンに共有し、参加者一人ひとりの経験を組織の学びへ変えていきました。OpenAI も、経営層向け研修や初心者向けハンズオンなどを実施。業務での実践に役立つノウハウを伝え、活用を支援しました。

パイロット期間中、特に話題を集めたのが「株主総会シミュレーション GPT」です。音声モードを活用し、実際の総会さながらのリアルな対話型 AI ロープレを構築しました。社内の反響は大きくプロンプトの共有を求める声が相次ぎ、音声による AI 活用が横展開されるきっかけとなりました。

そして欠かせなかったのが、経営層の率先した活用でした。小野氏は代表取締役(兼)社長執行役員 COO の水野克己氏に、「社員へ活用を促すだけでなく、トップ自らが日常的に使い込むことが重要」と進言。水野社長は深く共感し、企業調査用のカスタム GPT を自ら開発して日常業務で活用するようになりました。

経営層が自ら使うトップダウンと、現場が用途を生み出すボトムアップ。この両輪がかみ合ったことで、導入の判断と現場での活用がひとつにつながり、パイロットテスト終了から1ヶ月というスピードでの全社導入へ至ったのです。

現場で愛されるユースケース3選

カウンター営業:終礼の記録

  • クレディセゾンは、ショッピングモールなどに設けたカウンターで、来店客にカードの入会や利用を案内しています。こうした営業拠点で、1日の終わりの打ち合わせである「終礼」の記録を支援するのが、「ショップ実績報告 GPT」です。

  • 普段どおりに行う終礼の音声をもとに、担当者ごとの実績、議事録、翌日の申し送り事項、注力すべき点まで自動でまとめます。日々の終礼の進め方は変えずに、記録と集計の負担を軽減する。この仕組みは、AI に不慣れな社員にも取り入れやすく、現在は全店舗で活用されています。

法人営業:顧客の経営課題を捉え、提案につなげる

  • 法人営業では、顧客分析に特化した「企業調査 GPT」が活用されています。経営課題の整理や、クレディセゾンのサービスが貢献できる可能性を整理できます。

  • 当社を調査した際には、社員も十分に認識していなかった課題が指摘されたほど。商談前のリサーチや分析を効率化し、提案の質の向上につながっています。

インサイドセールス:営業活動と育成を両立し、新人の実践機会を増やす

  • インサイドセールスの課題は、熟練者の営業活動を止めることなく、経験の浅い社員に営業の機会を増やすことでした。

  • この取り組みを支援するのが、「ホワイトリストロープレ GPT」です。AI が見込み顧客役となって、音声で対話しながら商談を練習できる仕組みです。対話後にはフィードバックも得られるなど、本番前に実践的な場数を踏めることが現場で評価されています。

一目でわかる成果

  • 315名のパイロットテストで、 ROI 954 %を達成

  • 参加者1人あたり月14時間、年換算で約169時間の業務時間を削減

  • パイロットテスト後アンケートで、管理職の75%、一般社員の70%が「手放せない」と回答

  • 同アンケートで、法務部門の約80%が「能力向上」、システム部門の80%以上が「仕事の満足度向上」を実感

  • パイロット終了から1ヶ月で ChatGPT Enterprise の全社導入を決定

「Assistive Intelligence」 で全社を変革する

クレディセゾンは、AI Transformation(AX)を3つの軸で捉えています。1つ目の「Employee AX」は、社員の仕事を変え、AI がなければできなかったことを可能にする変革です。営業現場での ChatGPT の活用のみならず、例えばエンジニア部門では Codex の利用により、月平均850時間の業務時間削減につながっています。

その先に見据えるのが、顧客体験や UI、UX を向上させる「Customer AX」と、AI を前提に組織や役割を見直す「Corporate AX」です。

Customer AX では、AI コールセンターの実現に向けた内製開発を進めています。そして、Corporate AX は、具体的な活用テーマを検討する段階です。ChatGPT Work の導入も検討しており、将来は社員がより付加価値の高い仕事に注力できる環境を目指しています。AI が自律的に業務を実行するからこそ、顧客情報の保護を前提に、セキュリティには一層慎重に対応する考えです。

“Employee AX に閉じていてはいけません。AI を前提に組織設計や業務の役割分担を再定義する Corporate AX へどれだけ進めるかが、今後のチャレンジです”
—クレディセゾン、取締役兼専務執行役員CDO 兼 CTO、小野和俊氏

この変革を進めるうえで、同社は今後も OpenAI との連携を重視しています。最新機能の情報共有を受けながら、新技術が自社の業務や顧客への価値にどうつながるかを検証し、安全性を確保したうえで速やかに展開する方針です。

経営層が自ら AI を使い、現場が日々の仕事に役立つ使い方を見つける。その積み重ねが、クレディセゾンの AI 活用を支えてきました。次に目指すのは、社員一人ひとりの「小便利」を広げながら、顧客との接点や組織の仕事の進め方まで変えていくことです。人の力を引き出す「Assistive Intelligence」の考え方を、全社の変革へとつなげようとしています。

新しい働き方の時代へ

世界中の100万社を超える企業が、OpenAI を活用して確かな成果を上げています。