Color Health

Color Health(新しいウィンドウで開く)は、がん患者がこれまで以上に速やかに治療を利用できるようにする新たな方法を開発するため、OpenAIと共に取り組みを行っています。同社の新しいCopilotアプリケーションは、がん検診とがん治療について医療従事者がエビデンスに基づいた判断を下せるようにするため、不足している診断を特定し、患者に合わせた精密検査計画を作成するためにGPT‑4oを使用します。
Colorは、10年間にわたり治療へのアクセスを改善するための取り組みを行っており、創業以来700万人以上の患者にサービスを提供しています。2023年、同社は雇用主と健康保険が、アメリカにおいて2番目に多い死因であり、同国の医療費の大きな要因であるがんを管理できるよう支援するため、アメリカがん協会と提携関係を結びました。

Color Healthは、患者の医療データと臨床上の知識を統合するため、OpenAIのAPIを使用しています。その結果開発されたのが、患者の治療において見直し・使用できるカスタマイズされた総合的な治療計画を医療提供者のために作成するCopilotアプリケーションです。
Color HealthのCEO、Othman Laraki氏は次のように話します。「Colorは、がんに関する専門知識が患者の治療に関する判断に最大の影響を与える可能性がある場合に、その専門知識を利用できるようにするというビジョンを掲げています。
医療を専門とする企業として、アクセスと公平性を改善するテクノロジーは、患者の安全とプライバシーを支援するテクノロジーと連携しているべきだと考えています。その鍵となるのは、OpenAIのHIPAA(医療保険の携行性 と責任に関する法律)準拠のデータ保護基準です」
Copilotアプリケーションの出力は、すべての段階で医師によって分析され、患者に提供される前に必要に応じて修正されます。仕組みは次の通りです。
- Copilotは、臨床ガイドラインと信頼できる情報源からのデータと共に、家族歴や個人のリスク要因など患者の情報を抽出、処理、正規化します。秩序立てられていない構造または表現の情報で構成されるPDFや臨床メモなど、大抵形式が異なる膨大なページの中に埋もれている情報を抽出し正規化するGPT‑4oの機能はとりわけColorのチームを驚かせました。
- 不足している診断を特定し、患者に合わせた検診計画を生成するため、Copilotはこのデータを使用して「患者が受けるべき検診とは?」といった重要な質問に回答します。また、医療の必要性を示す書類や保険の事前承認など、診断のための精密検査を完了するために必要な書類も生成します。
- 治療に関わる医師が、情報源となった情報も含め出力を評価します。医師は、Copilotの出力を編集できます。これは、将来の反復の改善に役立ちます。
- 治療に関わる医師が納得いく結果を得られたら、患者の既存の治療計画に情報を追加できます。
がんの検診、診断、治療は、複雑かつ時間がかかることで有名です。どんな場合にも遅延が病状を左右します。たった4週間治療が遅れただけで、患者の死亡リスクが6~13%高くなります(新しいウィンドウで開く)。
また検診のニーズは、多くの場合患者一人一人によって異なります。例えば、Colorの患者の3分の1が、標準的なガイドラインによって対応されていない個別のリスク要因に基づく、患者ごとに異なる早期検診アプローチを必要としています。「リスクの高い患者向けにパーソナライズされたがん検診計画を作成する複雑さを目の当たりにしています」とColorの一次診療医Keegan Duchicela医師は話します。「ガイドラインは常に改訂されており、個別のリスク要因は必ずしもすぐに判断できるものではありません」
検診だけでなく、診断のための精密検査も課題をさらに複雑化しています。患者1人の診断のための精密検査を文書化し、実施するには数週間かかることがあります。また、患者の大半が、すべての精密検査を終えていない状態でがん検診の初回受診のために来院します。「現在、患者が初回の診断を受ける場所によってがん治療には実質的な差が生じています」とスタンフォード大学医学部教授であり、臨床現場でがん専門医として現役で活躍しているAllison Kurian医師は言います。「患者の多くが、適切な治療を提供するために必要な他のすべての検査と臨床評価を完了するのには数週間を要します。この数週間で、貴重な時間が失われ、医師は追加の事務手続きの負担がかかります」
Colorは2023年より、がん患者の治療と健康の公平性を改善するためにAIを活用することを目指し、OpenAIと共に取り組みを初めました。がん検診、診断、治療の課題を考慮しつつ、Colorは次の要件を満たすソリューションを探していました。
- 一貫性のない形式の患者データを解釈できること
- 医療に関する難解なガイドラインを分析できること
- 患者のデータプライバシーを保護できること
- 患者の安全性を確保するため治療に関わる医師のワークフローの設計を支援できること
- 電子カルテ(EHR)と医療機関の基幹システムと統合できること
最初の検討中、Colorはがん診断の臨床ガイドラインのPDFから情報を抽出するなど、複雑な作業でのGPT‑4とGPT‑4oのパフォーマンスをテストするなど、速やかに実験を行うアプローチを策定しました。これらのPDFは、診断のための精密検査に基づく治療スケジュールを示す複雑な図で構成される何百ページものファイルであることがほとんどです。図のスクリーンショットは、出力精度を維持する上で最も効果的であったため、OpenAIとColorは、図のスクリーンショットを説明することをGPT‑4 Visionに頼む方法を共同開発しました。

また、広範にわたるエンジニアリングリソースを注ぎ込む前に、ChatGPTの標準インターフェースを使用して臨床ワークフローのプロトタイプを作成し、カスタムGPTを使用してサンプル症例を生成するため、OpenAIはColorのチームにガイドを提供し支援しました。
OpenAIのエキスパートによるガイダンス、高性能モデル、HIPAA(医療保険の携行性 と責任に関する法律)準拠のデータ保護基準を活用することで、Colorは、Copilotの初代バージョンを開発するため、複雑な医療上の意思決定を解体し、プロンプトを改善し、治療に関わる医師のワークフローを設計することに集中できました。
例えば、OpenAIのエンジニアは、出力の質を向上し、ChatGPTが処理しやすいように臨床文書を書き直すため、モデルをファインチューニングする代わりに検索拡張生成(RAG)を使用するようColorにアドバイスしました。実験を行った後、Colorは最終的にAIソリューションプロバイダーとしてOpenAIを選択し、同社の最先端アプリケーションCopilotの中核にGPT‑4oを採用しました。
このツールの影響を評価するため、Colorはカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ヘレンディラーファミリー包括的がんセンター(HDFCCC:Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center)と提携関係を結びました。初回導入に向け、ColorとUCSFは遡及評価を実施し、その後的を絞った展開を行いました。評価により、UCSFの新規がん症例すべての臨床ワークフローにCopilotを組み込むことができる可能性が明らかとなりました。
「UCSFは、患者の治療を改善するため最先端技術を導入する分野をリードする存在です」と王立学会会員(FRS)でありUCSF HDFCCCのセンター長を務めるAlan Ashworth博士は話します。「診断のための精密検査が不十分な状態でがん専門医の初診のために来院する患者は非常にたくさんいます。そして必要な精密検査を完了したことを照合し、正確に特定する手続きにかかる時間により、医療提供者が医師として最善を尽くすことを妨げています。私たちは、来院前のカルテ記入の効率と精度を向上し、UCSFにおいてがん患者の治療開始の遅延とそれに伴う多額のコストを避けることができるツールに感心を持っています」
同博士アメリカがん協会CEO、Karen Knudsen氏はこれに同意を示しています。「プロセスの効率を向上するためAIテクノロジーをデジタル対応の臨床ワークフローと組み合わせるというアイデアは、すべての関係者、すなわち患者はもちろん、医師や治療コストを負担する保険者(Payer)にプラスに働く進歩となるでしょう」
Colorは、Copilotの展開にあたり慎重な方法をとっており、医師向けに段階的な初回導入を開始し、限定された件数の症例にツールを適用しています。これらの症例には、品質保証のためのいくつかのレイヤーが適用されています。
- Copilotを使用する医療提供者は、Copilotを使用していない症例と比較し、不足している検体検査、画像検査、生研、病理学検査の結果を4倍多く特定できます。
- Copilotを使用することで、平均5分で、医師は患者の記録を分析し、ギャップを特定できます。Copilotを使用しない場合、データが断片化され、数週間に及ぶ遅延につながる可能性があります。
2024年下期を通して、ColorはAI生成のパーソナライズされた治療計画を提供するため、20万人以上の患者を対象に医師の監視の下、Copilotアプリケーションを使用する予定です。