AIを活用した文章作成
プロのライターが ChatGPT を活用する 5 つの方法
ライターが ChatGPT を創作活動に活用している例をいくつかご紹介します。
ライターは、ChatGPT を相談役やストーリー コンサルタント、リサーチ アシスタント、編集者として利用し、アイデアについて意見を求める、的確な言葉を探す、思考を明晰にする、構成や流れについてフィードバックを得るといった使い方をしています。
文章の生成ではなく、創造性を広げるツールとして ChatGPT を活用している5人のプロのライターをご紹介します。
「直感的な使い方をすれば、『これは執筆を代わってくれるものなんだ』と思うことでしょう。でも、質問を投げかけてくるように指示することもできます。私からアイデアや洞察を引き出すことで、思考を手伝ってくれるのです。」
執筆とは本質的に孤独な作業で、孤独ならではの欠点があります。自分自身の視点に閉じこもることになり、その文章を客観視するのが困難になることです。そこでライターには編集者、すなわち完成度が高い部分と練り直しが必要な部分について別の観点を提供してくれる存在が必要なのです。
それでも編集者がいつも対応できるとは限らず、いたとしても見られるのは仕上がった原稿のみです。そこでChatGPTの出番です。執筆のあらゆる段階で、即座にフィードバックと導きを提供することができます。
脚本家のDavid Cornue氏は、ChatGPTを毎日24時間開いているライターズルームと位置付け、ストーリーのアイデアを練り、物語上の問題を解決するために活用しています。脚本やビートシートについてフィードバックを得るため、このようにChatGPTを利用しています。
「ChatGPTは、ストーリーを生成するのではなく、ストーリーの共同制作者や評価者として使っています。
執筆を代わってもらおうとすれば自分の中で何かを失うことになる、そうライター仲間には言っています。宿題をロボットにやらせてA+の評価をもらうようなものだと。自分の宿題は自分の力でやりたいです。
『このシーンを書き直してくれ』などといった使い方をすることはありません。ライターは自問しなければなりません。『これをどう使えばしっくり来て、作品がまだ自分のものであり、自分の声であると感じられるか?』と。あなたがクリエイティブの原動力である限り、これは活用できる素晴らしいツールです。
私はAIの使い方についてはっきり決めていました。人間関係と同じように、境界線を定めています。これは認められる、これは認められないと言っていました。いわば創作を守るファイアウォールを設け、『私の代わりに執筆しないで。私がライターであって、あなたはライターではありません』と言いました。
私は毎日ずっとChatGPTを使っています。ライターズルームのようなものだと思っています。今は小説を原作とした制作に取り組んでおり、こう問いかけます。『私のビートシートを見てください。ドラマチックさが足りない気がします。どう思いますか?』アイデアを提供してもらい、ライターズルームのようにやり取りを交わして課題を洗い出します。
時には、自分で考案したストーリーテリングの原則を使ってフィードバックを求めることもあります。またある時には、ベテラン脚本家になりきってもらいます。『こうこうこういう有名作家あるいは有名監督になったつもりで、思うことはありますか?』
ハンドルを握るのはいつも私です。これは想像できる全てのものを上回る早さ、賢さ、性能を兼ね備えた素晴らしい相談役です。」
David Cornue氏
優れた文章を書くには、的確な言葉を見つける必要があります。しかし、正しい言葉と胸の躍るような精度で意味を伝える言葉の間には明白な違いがあります。前者は通用はするものの曖昧であり、方向性は正しくても不正確で、後者はギュスターヴ・フローベールが「le mot juste」(ぴったりの言葉)と呼んだものです。彼はこう助言します。「近似に甘んじることなかれ。」
ChatGPTは、類語辞典ではできないことを実現します。特定の単語が出現する文を考慮し、繊細で適切な提案をすることで、ライターがアイデアをぴたりと明確に表現できるよう支援するのです。
ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストを務めたFarhad Manjoo氏は、ChatGPTでこのように「言葉探し」をしています。
「ChatGPTは、私の作業の一部になっています。書き始めの前に、考えているアイデアについて対話することがあります。ブレインストーミングのように、アイデアについて熟考したり、声に出して考えたりするような感覚です。
第一読者として使うという実験もしてみました。数段落書いたら、それをChatGPTに見せてざっくりとした批評を求めます。それが実りをもたらすことがあります。反論の可能性を提案してくれたり、私が思いつかなかったアイデアに導いてくれたりします。編集者とはまた違いますが、考えを引き出せるものがあるのは素晴らしいことです。
私の一番の使い方は、ニューヨーク・タイムズの記事(新しいウィンドウで開く)でも書いた言葉探しです。私はいつでも気の利いた表現を考えています。物書きとはそういうものなのでしょう。
ChatGPTが登場する前は、ぴったりな言葉を求めて辞書や類語辞典を引いたりGoogle検索をしたりしていました。
ChatGPTは、これら全てを置き換えました。類比や比喩、慣用句にとても有用なのです。アナロジーの半分まで考えて、それを納得のいく形で締められないことがよくあります。面白い例えをしたくても的確な言葉が浮かばないときに助けを求めます。少しやり取りを交わせば、探していた考えを見つける手助けをしてくれます。そういう形で役立つツールは他に使ったことがありません。」
Farhad Manjoo氏
ほとんどの人は、質問をして答えを得るのがChatGPTの使い方だと考えています。その一方、ライターであり創業者であるStew Fortier氏は、自分自身が答える立場になったときに最も役立つと感じています。彼はこれを「リバースインタビュー」(逆質問)と呼んでいます。ChatGPTが一連の深堀り質問をしてユーザーを導くことで、洞察を引き出したり、考えをより明確に表現するよう促したりする手法です。
Fortier氏は、このようにChatGPTを自身の創造性を引き出すツールとして活用しています。
「私はこれを執筆の共同制作者だと思っています。問うなら、『どのようにAIを使えばもっとクリエイティブになれるか?』
私が十分に議論されていないと思う一つのパラダイムは、これらのツールからあなたのほうに質問をするよう指示し、思考や書き出しを促せるということです。直感的な使い方をすれば、『これは執筆を代わってくれるものなんだ』と思うでしょう。でも、私のほうに質問するよう求めることもできるのです。私のほうに考えさせたり、私のアイデアを形作らせたりするよう指示すれば、そこから優れた執筆というものが始まります。
あなたがプロンプトエンジニアになる代わりに、あなたにプロンプトを与えさせてみたらどうでしょうか。AIは、私情なき共同制作者として、素晴らしいユニークな洞察を引き出す手助けをすることができるのです。
私は、ライターの仕事を置き換えるのではなく、ライターがより良い仕事をするための支援をする常時稼働体制の編集者として見ています。AIを使って、ブレインストーミングやリサーチ、執筆プロセスの執筆以外の部分に使うこともできます。
まるで『ジ・オニオン』のライタールームにいるような感じです。6人寄れば、1人のときより面白いものが出来上がります。共生できます。
正直に言えば、私は決して執筆というものを諦めたくはありません。執筆とは、運動や瞑想のようなものです。本質的に大切にしている活動の一つです。たとえAIが完璧な散文を書けたとしても、執筆そのものが価値のある行為だから、それでも私は書きたいのです。
書くとは難しいことです。多くの人が諦めてしまうような困難がいくつもあります。まだコーヒーを飲んでいない、ネタが切れた、記事に必要な統計や事実が見つからない……AIがそういったところで助けてくれるなら、ライターとして才能を発揮して仕事ができる可能性が高まります。」
Stew Fortier氏
良きコメディとは軽快に見えますが、ジョークを書くにはリサーチが必要です。ユーモアは文脈によります。コメディライターのSarah Rose Siskind氏が説明するように、ノックノックジョークは文脈を外れているために滑ってしまいます。Siskind氏は、ChatGPTを使ってジョークの舞台設定をリサーチし、共通のテーマや誇張された観測を発見することで、楽しいクリエイティブな部分であるパンチラインの作成に集中しています。
このようにネタを集めるためにChatGPTを活用しています。
「私はコメディのためにChatGPTを使っています。完成されたジョークを提案してくれるわけではないですが、きっかけになります。例えば『モーゼになってください。モーゼとして、現代のSNSマネージャーであるミーガンという女性の愚痴を聞きます。客観的にはあなたのほうが困難な人生を送っていますが、どうにか彼女を慰めてください。』あらゆる人になりきって会話ができます。その人が側にいるような感覚になります。
これがジョークの舞台設定を書くときに役立っています。『シャーク・タンク』のパロディを書いているときに、『『シャーク・タンク』についてどんな評判の声がありますか?』と尋ねてみました。
パロディは、1対1の正確さを求めるものではありません。違うものを取り出して誇張します。だから、『投資先を探している』というような一般的なことだけでなく、『シャーク・タンク』ならではの誇張できるものを求めています。例えば、『サメさん、あなたにこんなことがあったことはある?』とか。
私はコーディングカンファレンスで、ある人のためにローストスピーチ(他人をネタにするコメディ)を書いていました。コーディングについては明るくないので、ChatGPTにコーディングコミュニティで定番のジョークを掘り下げてもらいました。『あなたのチームの50歳のプログラマーにまつわるステレオタイプは何ですか?』と尋ねました。ChatGPTは、いろいろと提案してくれた中で、このように答えました。『延々と長話を聞かされます。』年配の人たちは、有名になる前の有名人に会ったことを常々話しているなと思い出しました。そこで、ChatGPTにその条件に合いそうなテクノロジー系の有名人を尋ねたところ、そのリストの中でスティーブ・ウォズニアックが一番面白い人だと思いました。こうしてどのようなジョークができたかというと、年配の開発者というのは1998年にパーティーでスティーブ・ウォズニアックに会ったかもしれない場面のことを延々と若者たちに語り聞かせるものだ、という内容でした。私が方向性を決め、ChatGPTがディテールを埋める手伝いをしてくれました。
驚いたのは、本当にライターズブロックに陥らなくなったということです。ライターズブロックとは、独我論的な状態であり、完全に孤独であるという感覚だと思います。このツールがあるおかげで、私は孤独を感じなくなりました。」
Sarah Rose Siskind氏
リサーチは、ライターにとって新しい世界への入り口です。ライターは自分の知っていることを書くように勧められますが、トム・ウルフが観察したように、実体験だけに頼っていては創作の幅に限界があります。現実と空想、過去と未来で、見たことのない人物や場所を描くためには、ライターはリサーチやルポルタージュを通じて知識を広げる必要があります。
それでも、リサーチは気が遠くなるほど時間がかかることがあり、たった一つの掴み所のない事実を発見するために山のような資料に当たることになったりします。小説家でありSubstackでライターを務めるElle Griffin氏がChatGPTの活用方法を説明します。こうしたプロセスを加速させ、想像力を刺激し、具体的な質問に対する答えをすぐに提供し、思いも寄らない繋がりや棚から牡丹餅のような発見をもたらしてくれると言います。
「ChatGPTは私の執筆に革命を起こしました。
執筆で最も難しいのは何と言ってもリサーチです。ChatGPTが出る前は、Googleを使って研究を探し、ウィキペディアで脚注を調べ上げ、Amazonでいくつもの本を読んでいました。何百というウェブページを読み漁り、中の数章を読むためだけに何十冊という本を購入して、あまりにも多くの時間を費やしていました。
今では、ChatGPTにこう尋ねるだけです。『感情表現が豊かな文化とそうでない文化について、どのような研究が行われていますか?』するとすぐに必要な研究に辿り着けます。情報が正確であることを確認するために、必ずChatGPTに情報源へのリンクを含めるように求めています。
ChatGPTは小説のブレインストーミングにも使っています。100万年後の人類の進化を想像したかったとき、人類が今も進化しているという証拠はあるかと尋ねました。ChatGPTは、潜水中に長時間息を止める生活をしている人は脾臓が大きくなるという研究に導いてくれました。技術システムを研究していたとき、水を通したデータ伝送の研究を教えてくれました。私のユートピア小説の2章は、これがインスピレーションとなりました。
こうした問いかけをすることで、自分の声が失くなるということは一切ありません。より適切な情報源に導かれるため、私自身のテーゼに早く辿り着けるようになったというだけです。ChatGPTは、私の執筆や思考に代わるものではありません。情報へのアクセスが良くなることで、情報を探す時間を減らし、創作活動に使う時間を増やすことができるのです。いずれも私が好きな深い読みや研究を妨げるものではありません。ChatGPTが私の作品に関連の深い文献を見つけてくれたおかげで、私の興味にぴったりな素晴らしい本にいくつか触れることができました。
Googleでいくつものページを検索して、ブロガーやブランドがSEO重視で書いたコンテンツをかき分けることに比べて、これがどれほど優れているか説明するのは困難です。」
Elle Griffin氏
ライター
Sarah Rose Siskind氏(新しいウィンドウで開く):コメディライターのSarah Rose Siskind氏は、パンチラインではなくジョークの舞台設定をリサーチするためにChatGPTを活用しています。 職業:サイエンスコメディライター、テレビライター 所属:Hello SciCom、National Geographic、StarTalk with Neil DeGrasse Tyson、Hanson Robotics
Farhad Manjoo氏(新しいウィンドウで開く):ニューヨーク・タイムズ紙の元コラムニストであり、テクノロジーと文化について執筆しているFarhad Manjoo氏は、「言葉探し」のためにChatGPTを活用しています。 職業:テクノロジー・文化記者 所属:The New York Times、Slate
David Cornue氏(新しいウィンドウで開く):テレビ・映画の脚本家であるDavid Cornue氏は、ビートシートや脚本についてフィードバックを得るためにChatGPTを活用しています。 職業:脚本家、執筆コーチ 所属:ABC
Stew Fortier氏(新しいウィンドウで開く):ライターであり創業者であるStew Fortier氏は、逆質問(リバースインタビュー)によって自身の思考を明確にするためにChatGPTを活用しています。 職業:ライター、創業者 Type AI
Elle Griffin氏(新しいウィンドウで開く):ライターのElle Griffin氏は、小説やSubstackのエッセイの初期リサーチにChatGPTを活用しています。 職業:Substackライター、小説家 所属:Esquire、Forbes、Substack