楽天がデータとAIを組み合わせ、顧客インサイトと価値を引き出す

楽天グループには、電子商取引、フィンテック、デジタルコンテンツ、コミュニケーションなど、70以上のオンラインサービスからなるエコシステムによって、世界中に18億人以上の会員がいます。楽天はまた、57,000を超える日本の加盟店が日本の顧客にオンラインで販売するのを支援したり、国際市場で大企業に電子商取引や広告ソリューションを提供したり、モバイルネットワークを構築・運営したりするなど、B2B企業としても数多くの事業を展開しています。
楽天が顧客に対してますます大きな価値を提供しようとする中で、データの重要性はいくら強調してもしすぎることはありません。これには、楽天のエコシステム・サービスから得られる膨大な取引データや行動データから、PDFやWord文書に保存された内部ビジネス・データまでが含まれます。「私たちにとって、データ資産は重要な企業資産です」と、楽天グループAI for Businessゼネラルマネージャーの梶佑輔氏は語ります。
AIによって、楽天はこの資産を活用する革新的な方法を見出しています。「OpenAIが開発したようなAIモデルこそが、データの上で我々が行えるインパクトを増幅させる方法だと考えています」と梶氏は加えます。東京に本社を置く楽天は、OpenAIとの提携により、世界中の企業がセキュリティとプライバシーを第一に、どのように生成AIイニシアチブに取り組むことができるかの基準を設定しようとしています。

楽天はいち早くOpenAIのAPIを使い始めました。同社はGPT‑3.5で構築を始め、ChatGPT Enterpriseの発売前に従業員のための独自の社内チャットボットも作成しました。
楽天の目標は「AIエンパワーメント企業」になることです。同社は、複雑な非構造化データを理解し、そこから価値を引き出すために、OpenAIのモデルとともにCode Interpreterと検索拡張生成(RAG)を使用し、その結果、顧客とビジネスは新たな方法で力を得ることができました。
- 以前は、カスタマーサービスチケットに対する返答を得るのに、ユーザーは何日も待たなければなりませんでした。「OpenAIのAPIとRAGを社内のナレッジベースで使うことで、ユーザーへの対応やヘルプを自動で行えるようになりました」と梶氏は続けます。この技術革新により、応答時間と効率が大幅に改善されました。
- 買い物をするときに、何百ものユーザーレビューに目を通す時間がある人はほとんどいないため、 楽天は、重要なトピックを抽出し、レビューを要約する機能を開発中です。「これにより、ユーザーはもっと構造化された方法で情報にアクセスし、探索することができるようになります」と梶氏は説明します。
- ナレッジ検索は楽天のB2Bビジネスにも大きな影響を与えています。楽天のコンサルタントは現在、市場分析や販売動向など、楽天の豊富なデータから得られる実用的な洞察で、加盟店や企業を支援しています。

生成AIは新たな分野であり、日本も政策的な問題を模索中です。大企業を巻き込んだ事件が起きれば、今後何年にもわたって技術革新に冷や水を浴びせることになりかねません。「日本では信頼が非常に重要です」と梶氏は説明します。「もし信頼が失われれば、信頼を回復するのに非常に長い時間がかかるでしょう。」
だからこそ楽天は、セキュリティに真剣に取り組んでくれるパートナーを見つけることが重要だと考えたのです。広範な評価と徹底的なデューデリジェンスの結果、楽天はOpenAIとの提携を選びました。
楽天はモデルやデータを革新する方法を模索し続けていますが、プライバシーとセキュリティを何よりも優先しています。「私たちのすべての行動において、ユーザーと顧客を守るために、最高水準のガードレールを確実に設置しています」と梶氏は述べます。

楽天はOpenAIのAPIを使った開発を続けており、新しいリアルタイムの音声と視覚機能のパワーに胸を躍らせています。例えば、音声形式でしか存在しない社内会議データの上に、会議のアクションアイテム、電子メールでのコミュニケーション、多言語翻訳を作成することができます。楽天もまた、会話型AI体験をエコシステムに組み込む可能性を見出しています。それはデータに戻り、このような経験は、ユーザーのニーズについてのより豊富なデータを提供し、ひいてはより良い製品を生み出すことにつながります。
「クリック数やインプレッション数は、ユーザーの嗜好を表すものにすぎません。LLMをユーザー体験にもっと組み込むことで、会話入力を通じてユーザーの問題や嗜好を直接理解することができます」と梶氏は続けます。「この新しいタイプのデータをうまく取り込み、管理することができれば、より良いサービスを提供することができます。」
楽天は、人と社会をエンパワーメントするという情熱に導かれており、2024年、AIなしで目標を達成することは考えられません。楽天では、AIは新たなレベルのエンパワーメントを意味し、例えば、中小企業がデジタル環境の中で競争力を高めるのに役立ちます。「グローバルイノベーションのリーダーとして、より良く、より楽観的な未来を創造する目的でAIを採用することは、私たちの責任であると考えました。OpenAIはこの旅において理想的なパートナーでした」と梶氏は説明します。