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Mercado Libre社、GPT-4oを搭載したAI開発者向けプラットフォームVerdiを導入

「Mercado Libre」のロゴと、楕円形の中でパートナーシップを象徴する2本の手が握手している画像。オレンジ、黄、赤など暖色系の抽象的な背景。「mercado libre」の文字が太字の丸みを帯びたフォントで下に表示されている。

Mercado Libre社(新しいウィンドウで開く)は、ラテンアメリカ地域最大のeコマースおよびフィンテック企業です。25年の歴史の中で、Mercado Libre社は飛躍的な成長を遂げ、同地域で最も価値のある企業という称号を得ました。

同社は、混戦する市場において競争力を維持するため、AIソリューションの導入に成功しています。その施策の一つにVerdiがあります。GPT‑4o、GPT‑4o mini、GPT‑3.5 Turboを使用した開発プラットフォームレイヤーであり、Mercado Libre社によるカスタマーサービスなどの複雑なタスクを処理する方法を変革しています。

OpenAIによる生産性と効率性の向上

Mercado Libre社は、長年にわたりAIを活用してプロセスを合理化し、ユーザー体験を向上させてきました。OpenAIのAPIの使用用途は以下のとおりです。

  • 在庫管理能力の向上:GPT‑4 Visionは商品リストのタグ付けと作成を行い、Mercado Libre社は2年間で従来の100倍の商品をカタログ登録できるようになりました。
  • 不正検出:GPT‑4は、毎日数百万点の商品リストのデータを評価し、フラグを立てた商品の不正検出精度を99%近くまで向上させています。
  • 商品説明のカスタマイズ:Mercado Libre社はGPT‑3.5および4を使用して商品のタイトルと説明を翻訳し、繊細な違いのあるスペイン語とポルトガル語の方言に対応しています。
  • 注文の増加:GPT‑4o miniにより自動化されたレビューサマリーは、ユーザーが商品のフィードバックを素早く把握するのに役立ち、この機能が利用できる領域で注文が増加します。
  • 通知のパーソナライズ:個人に合わせたプッシュ通知は、好みに合わせた商品をお勧めすることで、エンゲージメントを高めます。
様々な割引商品を示すMercado Libre社のアプリを表示するスマートフォン画面。折りたたみテーブル、衛星インターネットキット、ノートパソコン、自転車などがあり、それぞれに割引価格が設定されている。背景は柔らかな黄色のグラデーション。

こうした改善が有益となったなか、チームはさらに大きな可能性を見出していました。Mercado Libre社のCOOであるDaniel Rabinovich氏は、次のように話します。「レビューのカタログ化と要約にAIを使用したことは興味深く有用でしたが、変革をもたらすものではありません。複雑かつ重要な作業を自律的に処理でき、人間のオペレーターよりも効率的なソリューションを求めていました。」

新しい開発プラットフォームで数百万ドルを節約

Mercado Libre社の新しいAI開発プラットフォームであるVerdiでは、あらゆる開発者が大規模言語モデル(LLM)を使って構築できるようになります。シームレスな統合、シンプルさ、セキュリティを念頭に設計されたVerdiは、3万以上のマイクロサービスを担当するMercado Libre社の1万7000人の開発者の業務を合理化します。 

開発者はVerdiの上にあらゆる種類のアプリケーションを構築できますが、初期の最重要なアプリケーションの一つは、カスタマーサービスの仲介を自律的に処理することです。従来、買い手と売り手の間の紛争を解決するには、時間のかかる人間の仲介が必要でした。Verdiは、このようなやり取りをAIが管理し、必要に応じて外部のAPIと社内の従業員を繋ぐことで、これに変革をもたらしました。  

わずか数ヶ月の間に、VerdiはMercado Libre社の主要サイトの一つでカスタマーサービス仲介の10%を処理するようになりました。この切り替えはMercado Libre社の全プラットフォームにおけるカスタマーサービス対応に革命をもたらし、9000人のオペレーターの業務をサポートし、年間4億5000万ドルに上るカスタマーサービスの決定を自律的に管理できるようになる可能性があります。

Rabinovich氏は説明します。「Verdiでは、人間が操縦士ではなくAIの副操縦士になるのです。このプラットフォームは、ケースを自律的に決定し、複雑なやり取りを管理し、さらにはプラットフォームに組み込まれたセキュリティプロトコルやガードレールによって、人らしさが必要なタスクを処理できます。」

セキュリティとルーティングロジックで新たなスタンダードを実現

他のAI開発プラットフォームとは異なり、Verdiは複雑かつ多面的なタスクを自律的に処理できる包括的なソリューションとして構築されました。言語モデルやPythonノード、APIなど様々なAI機能を統合し、堅牢でスケーラブルなプラットフォームを作っています。 

Verdiと他のソリューションとの最大の違いは、Verdiでは、開発プロセス全体を通じて自然言語が対話の中心的な手段であり続けることです。開発者はソースコードを見ることがありません。セキュリティ、ガードレール、ルーティングロジックも組み込まれています。

技術担当SVPのSebastian Barrios氏は次のように述べています。「開発プラットフォームを探していたとき、拡張性とセキュリティを保証しながら、高速なイテレーションを求める私たちのニーズに応えるものはありませんでした。そこでGPT‑4を使って理想的なAIプラットフォームを自ら設計しました。認知的負荷を軽減し、組織全体が革新的な新しいソリューションを反復、開発、展開できるようにすることに重点を置いています。」

シンプルさとスケールを念頭に置いたVerdiの構築

Verdiは、ニューラルネットワークのような構造化されたフレームワークを提供することで、AI駆動型アプリケーションを構築する開発者をサポートします。

「LLMアクセス」、「セキュリティ」、「外部データアクセス」、「観測性」などのモジュールを含む「Verdiコア」にリンクされた「自動化プロセス」、「人間ユーザー」、「エージェント」などのシステムアーキテクチャを示す図。

GPT‑4oのコンテキスト理解とマルチモーダル機能により、Verdiは多様な種類のデータを処理、解釈できます。例えば、「破損の証明」というノードには、GPT‑4oへの呼び出しを含めることができ、Visionを使用して顧客の商品における破損や欠品を解釈します。

スキルも接続できます。この商品返品の例では、人間が関与することなく「返品」スキルが「出荷」スキルと会話できます。これらのパラメーターは、Mercado Libre社のチームが決定し、Verdiのフレームワーク内でサポートされます。

プラットフォームの拡張性と柔軟性も大きな利点です。VerdiはMercado Libre社内の開発者プラットフォーム内で動作し、開発者がアプリケーションを効率的に作成、展開、テスト、管理できる統一された環境を提供します。内蔵のユニットテスト機能により、開発者は最初からコードの質と信頼性を保証できます。この統合により、Verdiは新しいAIモデルや機能が利用可能になった時点で取り入れることができ、継続的に進化していきます。

Verdiを拡張してあらゆる問題を解決

Mercado Libre社は、カスタマーサービスでの成功を受け、さらなる迅速な配送と遅配の削減を達成すべく、Verdiを物流ネットワークにも展開し始めています。 

また、Verdiの機能をさらに拡大し、検索アシスタントや商品のお勧めといったより高度なAIソリューションを統合することで、Mercado Pagoが抱える毎四半期5000万人というアクティブユーザーをより満足させることを計画しています。

Rabinovich氏は言います。「Verdiは、あらゆる問題を解決するよう設計されています。踏み込んだ発言ですが、当社の業務を一変させる潜在性があると確信しています。日常的なお客様からのお問い合わせ対応から重大な係争の管理まで、Verdiは新たな基準を打ち立てつつあります。」